コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第2回カリキュラム(ver1.0)

3C:顧客・競合・自社で「状況」を整理する
(文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂の例)

第2回は、施策を考える前に「状況の見取り図」を作るための基本フレーム
3C(Customer / Competitor / Company)を扱います。

 

第1回の復習(1分)|マーケの全体地図

マーケは「売る施策」ではなく、売れる条件を整える意思決定
そのために 顧客・価値・届け方・改善 を決める(=全体地図)。

 

① 顧客

誰の、どんな状況のために?

 

② 価値

その顧客に何を約束する?

 

③ 届け方

どこで、どうやって届く形にする?

 

④ 改善

測って、学んで、直す。

 

今回(第2回)の位置づけ

3Cは、この地図の「①顧客」を深めつつ、競合(代替)自社の資産・制約を揃えて、
次の意思決定(STP、価値提案、4P、ジャーニー等)に進むための前提整理をします。

 

所要時間30〜45分(読む15〜20分+ChatGPTで確認10〜15分+理解チェック5分)

 

※重いワーク(資料作り・提出)は不要。「読む→短く聞く→腑に落とす」が目的です。

 

0. この回の進め方

  1. 本文を読む(15〜20分)
  2. ChatGPTに“御社の例で”3Cを作らせ、読み比べる(10〜15分)
  3. 理解チェック3問で定着(5分)

ChatGPT利用のルール(社内向け)

  • 社外秘・個人情報は入力しない(概算・匿名化・要約ならOK)
  • 前提が不足しているときは「仮説」と明記して進めさせる(後述の質問例に含めています)

 

今日のゴール

  1. 3Cが何のための道具かを説明できる(=施策を考える前の整理棚)
  2. 文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂を例に、3Cのイメージが掴める
  3. 3Cを使って、次に何を決めに行くべきか(=STPへの橋渡し)がわかる

 


1. 3Cとは何か:施策を考える前に「状況」を整理する棚

3Cは、マーケティングで最初に使うことが多い基本フレームです。目的はシンプルで、

3Cの目的

「勝てる戦い方」を考える前に、状況の見取り図を作ること

 

  • Customer(顧客):誰が、どんな状況で、何を求めているか
  • Competitor(競合):顧客の選択肢は何か(直接競合だけでなく“代替”も含む)
  • Company(自社):自社の強み・弱み・制約(できること/できないこと)
  •  

3Cは、これ単体で「結論」を出すというより、次の意思決定(STP、価値提案、4P、ジャーニー等)に進むための前提整理です。


 

1-1. 学ぶ意欲が上がる「成功事例」:3Cで見ると何が見えるか(ミニケース3つ)

ここでは「企業が公式に“3Cを使った”と宣言した」ことを示すのではなく、
3Cの観点で整理すると“成功の理由”が分解できる代表例を挙げます。
(3Cは、まさにこういう「分解して理解する」ための道具です)

ミニケース① スターバックス

競合を“コーヒー屋”に限定せず、「サードプレイス」で勝ち筋を作った

Customer(顧客)

  • 自宅でも職場でもない「第3のリラックスできる場所」を求める、という“状況”に焦点(=飲み物だけでなく「居場所」ニーズ)

Competitor(競合)

  • 競合はコーヒーチェーンだけでなく、「くつろげる場所」「時間を過ごす場所」という意味で、広く“代替”が含まれる

Company(自社)

  • 店舗体験を“サードプレイス”として提案し、価値として育てる

3Cでの学び

競合を狭く定義すると“価格勝負”になりがち。
競合の定義を「顧客の目的(居場所)」に合わせて広げることで、勝つ土俵自体を変えられる

参考:スターバックス ストーリーズ(サードプレイス)
スターバックス コーヒー ジャパン(会社案内)

 

ミニケース② ニトリ

自社の強み(Company)を“仕組み”として作り、「お、ねだん以上。」を実現した

Customer(顧客)

  • 「気軽に買える価格」と「高い品質・機能」を両立してほしい

Competitor(競合)

  • 家具・インテリアの選択肢(国内外の家具店、EC等)と比較される

Company(自社)

  • 従来の製造小売に物流とITを加え、企画〜調達〜製造〜物流〜販売までをグループでプロデュースする
    「製造物流IT小売業」を確立し、中間コストを抑えながら価値提供する

3Cでの学び

Companyは「商品が良い」ではなく、“価値を安定的に出し続ける仕組み”として書くと強い。
御社で言えば、コラボ企画〜開発〜販売の一気通貫も「Company(仕組み)」になり得ます。

参考:ニトリHD:ビジネスモデル

 

ミニケース③ 任天堂Wii

顧客を“既存顧客”に限定せず、非顧客から新需要を作った

Customer(顧客)

  • 既存のゲームファンだけでなく、“非顧客(まだ買っていない人)”に目を向けることで潜在需要を捉える

Competitor(競合)

  • 既存の競合(Sony/Microsoft)と真正面から戦う前提を置くと不利になり得る
  • 真っ向勝負だとさらに周縁化する可能性が示されている

Company(自社)

  • 競争相手中心ではなく、代替や非顧客に焦点を移すことで、新しい価値の組み立てが可能になる(“今の競争”から目線をずらす)

3Cでの学び

Customerの定義を変える(=状況/非顧客まで見る)と、Competitorの見え方も変わり、
Companyの強みの活かし方が変わる。

参考:Blue Ocean Strategy:Nintendo Wii Case

 

 

 

 


 

 

2. 3Cの「書き方」:3つのポイントだけ押さえる

 

ポイント①:Customerは「属性」より「状況」で書く

NG例:20代女性、都内在住(属性だけ)

OK例

  • 表参道で“体験として面白い場所”を探している
  • 推し作品の限定グッズを買い逃したくない
  • モールで比較して、早く安心して買いたい

顧客は、何歳かより“何をしようとしているか”が重要です。

 

ポイント②:Competitorは「同業」だけでなく「代替」まで含む

競合というと「同じ業界の店」を思いがちですが、顧客にとっては次のすべてが「比較対象」です。

  • 直接競合(同じカテゴリ)
  • 間接競合(似た目的を満たす)
  • 代替(別の手段で目的を満たす/そもそも買わない)

例(文房具カフェ):他の体験型・コンセプト系の店舗/普通のカフェ/別のレジャー/文房具はネットで買って済ます

“顧客の時間とお金”を奪い合う相手が競合です。

 

ポイント③:Companyは「強み自慢」ではなく「資産と制約」を書く

Companyに書くべきは「いいところ」だけではありません。

  • 強み(資産):企画力、ブランド、立地、運用力、顧客接点、世界観など
  • 制約:席数、営業時間、制作リードタイム、在庫リスク、プラットフォーム制約など

制約を把握すると、現実的な打ち手に落ちやすくなります。


 

3. 御社の例:3Cはこういう“見取り図”になる(あくまで仮説例)

ここでは理解のために、御社の3つ(文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂)で
「3Cを書いたらこういう方向性になる」という仮説例を示します。
正解は一つではありません。大事なのは整理の観点です。

A) 文房具カフェ(実店舗)の3Cイメージ

Customer(顧客)

  • 表参道で“体験として面白い場所”を探している
  • 文房具や紙ものが好きで、実物を見たり試したりしたい
  • コラボや世界観を楽しみたい(写真・共有も含む)
  • 落ち着いて過ごしたい/作業環境として魅力を感じる(仮説)

Competitor(競合・代替)

  • 直接:他のコンセプト店舗、体験型スポット
  • 代替:普通のカフェ(滞在価値が目的の場合)
  • 代替:別のレジャーや買い物(“表参道で何をするか”の選択肢)

Company(自社)

  • 強み(仮説):店舗体験を設計できる/世界観・企画が作れる/コラボ企画〜販売まで一気通貫
  • 制約(仮説):席数・混雑・運用負荷/立地コスト/来店という物理制約

B) 文房具カフェオンラインストア(自社EC)の3Cイメージ

Customer(顧客)

  • コラボ作品・キャラクターのファンで「限定」「買い逃し回避」が重要
  • 店舗に行けないが、同じ世界観や特典を楽しみたい
  • まとめ買い・ギフトなど、目的買い(仮説)

Competitor(競合・代替)

  • 直接:同作品の公式/準公式の販売チャネル、コラボ商品を扱う他EC
  • 代替:二次流通(中古・フリマ等)/他のグッズへ支出が流れる
  • 代替:そもそも買わない(情報が遅い/不安がある/送料で萎える等)

Company(自社)

  • 強み(仮説):企画・開発・販売まで自社で回せる/作品ファンに刺さる設計ができる
  • 制約(仮説):制作・販売スケジュール制約/在庫・受注設計の難しさ/CS負荷

C) ユウセイ堂(モール型想定)の3Cイメージ

Customer(顧客)

  • 検索→比較→購入の“目的買い”で、早く確実に買いたい
  • 価格・納期・レビューなどの安心材料で判断したい
  • 選択肢が多く、分かりやすい説明・比較がほしい(仮説)

Competitor(競合・代替)

  • 直接:同じプラットフォーム内の同商品・類似商品の販売者
  • 間接:他のEC/モール、実店舗
  • 代替:別商品への乗り換え、購入自体の延期

Company(自社)

  • 強み(仮説):運用(出荷・対応・在庫管理)で信頼を積み上げられる/品揃え・商品知識
  • 制約(仮説):比較されやすい(価格競争、レビュー影響)/プラットフォームのルール

 

4. 3Cで得られる“次の一手”:この回の結論

3Cができると、次の問いが自然に出てきます。

  • その中で 本当に狙うべき顧客 はどれか?(= STPへ)
  • その顧客に対して、何を強みとして前に出すべきか?(= ポジショニング/価値提案へ)
  • どのチャネル(店舗・自社EC・ユウセイ堂)で、どの役割を担うべきか?(= 届け方へ)

つまり、3Cは「施策を考える前の整理」ですが、最終的には
“選ぶ(やらないことも含む)”ための前段です。


 

 

5. よくある失敗(3Cあるある)

  • Customerが「属性の羅列」になる(状況が書けていない)
  • Competitorが「同業」だけで止まる(代替が抜ける)
  • Companyが「自慢」だけになる(制約が書けない)
  • 事実と仮説が混ざる(だから結論がブレる)

対策

対策は簡単で、「事実/仮説」を分けて書くことです。
(ChatGPT質問例でも、この分け方を指定しています)


 

6. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは ①〜③(自分の担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。
※枠内をドラッグ選択してコピーしてください(折り返し設定済み)。

① 文房具カフェ:3Cを“仮説”で作ってもらう

あなたは社内マーケ講師です。
表参道の「文房具カフェ」について、3C(Customer/Competitor/Company)をそれぞれ5項目ずつ作ってください。
条件:
- 事実として断定できないものは「仮説」と明記
- Competitorは「直接競合」「代替(別の手段/そもそも行かない)」を分ける
- 最後に、この3Cの精度を上げるために確認すべき前提を5つ挙げる

② 文房具カフェオンラインストア:コラボ特性込みで3Cを作ってもらう

あなたは社内マーケ講師です。
「文房具カフェオンラインストア(アニメ等のコラボグッズ)」について3Cを作ってください。
条件:
- Customerは「状況」で3タイプに分けて説明
- Competitorは「公式/準公式の販売」「他コラボ」「二次流通」「買わない」に分類
- Companyは「強み」と「制約」を必ず両方書く
- 最後に、次回のSTPにつながる“重要な仮説”を3つ挙げる

③ ユウセイ堂:モール/検索購買を前提に3Cを作ってもらう

あなたは社内マーケ講師です。
「ユウセイ堂(モール型想定)」について3Cを作ってください。
条件:
- Customerは「検索→比較→購入」の文脈で3タイプ
- Competitorは「同プラットフォーム内」「他プラットフォーム」「実店舗」「購入延期」に分類
- Companyは「運用で勝てる要素」と「比較されて弱くなる要素」を分けて書く

④ 3つを比較:共通点と差分→次に決めるべきこと(STP)

文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)の3Cを比較して、
共通点と差分をそれぞれ箇条書きでまとめてください。
さらに「次回のSTPで決めるべきこと(決断ポイント)」を5つ挙げてください。

⑤ 理解チェック:3Cのクイズを作ってもらう

今日のテーマ「3C」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

 

 

7. 理解チェック(3問・5分)

  1. 3Cの3つは何?それぞれ一言で説明すると?
  2. Competitorに「代替」を含めるのはなぜ?
  3. Companyに「制約」を書くのはなぜ重要?

 

 

8. 今日のまとめ(3行)

  • 3Cは、施策を考える前に 顧客・競合(代替含む)・自社(制約含む)で状況を整理する棚。
  • 成功企業の例でも、競合の定義を広げる/顧客を状況で捉える/自社の仕組みを書くことが勝ち筋につながる。
  • 3Cの価値は「正解」を出すことではなく、次に決めるべき問い(STP等)を明確にすること。

次回予告(第3回)

次回は STP(Segmentation / Targeting / Positioning)です。
第2回の3Cで作った“状況の見取り図”を使って、「誰を狙い、どう勝つか」を決めにいきます。

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