第7回カリキュラム(ver1.0)
カスタマージャーニーマップ:接点・感情・不安(障壁)を可視化し、改善点を「どこで何を直すか」まで落とす
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂の例)
第7回は、第6回で扱ったAIDMA/AISAS(段階)を、さらに具体化します。
接点(どこで)× 感情(どう感じる)× 障壁(不安/手間)まで落として、改善を「どの接点で、何を、どう直すか」の粒度にします。
0. まず第6回(AIDMA / AISAS)の要点を簡単に復習(3分)
第6回では、4Pで作った施策を「お客様の行動の流れ」に沿って並べ直すために AIDMA/AISAS を使いました。
- AIDMA:Attention → Interest → Desire → Memory → Action
- AISAS:Attention → Interest → Search → Action → Share
重要ポイント:
- USPは早めに(Attention/Interestで入口として)
- RTBは主にSearch〜Action前(不安を潰して前に進める)
- “詰まり”がどの段階にあるかを当てられると改善が進む
ただし、段階(AIDMA/AISAS)だけだと、次がまだ曖昧になります。
- その段階で、お客様は 具体的にどの接点(SNS/予約/商品ページ/店頭/配送など) に触れているのか
- その接点で、お客様の 気持ち(期待・不安・迷い・満足) がどう動いているのか
- どの接点で、どんな不安が生まれ、どこで解消されるべきか
この回でやること
行動段階をさらに具体化して、改善点を“接点単位”で特定します。
1. 今日のゴール(この回でできるようになること)
- カスタマージャーニーマップ(CJM)が何のための道具かを説明できる
- 御社3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、CJMの見え方がどう変わるか理解できる
- CJMを使って、改善点を 「どの接点で、何を、どう直すか」 の粒度で言語化できる(仮説でOK)
この回のキーメッセージ
- AIDMA/AISAS=「段階(流れ)」
- CJM=段階を「接点×感情×障壁」まで落とす
- 不安(障壁)が生まれる接点を特定できると、改善が具体化する
今日のアウトプット(軽量版)
- 段階(AIDMA/AISAS)を置く
- 各段階の接点を並べる
- 接点ごとに感情・障壁を書く
- 改善案を「接点単位」で決める
2. カスタマージャーニーマップとは何か:段階から「接点」と「感情」に落とす
カスタマージャーニーマップ(Customer Journey Map)は、ひと言でいうと次の道具です。
定義(この回の言い方)
お客様が目的を達成するまでの道のりを、行動(段階)×接点(タッチポイント)×感情(不安/期待/満足)で見える化するもの
AIDMA/AISASが「段階(流れ)の型」だとすると、CJMはその段階を
- どこで(接点)
- 何を見て・何をして(行動)
- どう感じて(感情)
- 何が障壁で(不安/手間)
- 何が必要か(情報/体験/根拠)
まで落とすためのフレームです。
3. どの順序で考えるか:第6回 → 第7回のつなぎ方(実務手順)
おすすめは次の 5ステップです。
Step 0:前提を固定(ターゲット・USP・RTB)
誰に、何を約束し、何で信じてもらうか(第4回)を固定します。
Step 1:段階を置く(AIDMAまたはAISAS)
店舗寄りはAIDMA、EC/モール寄りはAISASが見やすい、を基本に置きます。
Step 2:各段階の「接点」を並べる
例:SNS、検索結果、商品ページ、予約ページ、店頭、配送、問い合わせ、レビュー など。
Step 3:接点ごとに「感情」と「障壁」を書く
- 感情:期待/迷い/不安/納得/満足
- 障壁:手間、情報不足、誤解、正規性不安、合致不安、混雑不安、配送不安 など
Step 4:改善点を“接点単位”で決める
- その接点で USPを出すべきか
- RTB(根拠)を足すべきか
- 4Pのどれを直すべきか(Product/Place/Price/Promotion)
4. 学ぶ意欲が上がる「成功事例」:CJMが効く典型パターン(ミニケース3つ)
※「この企業がCJMを使ったと公言」よりも、CJMが効く場面を分解して理解するための例です。
ミニケース① ECで「見られているのに買われない」
- 段階(AISAS):Search→Actionが詰まっている
- CJMで見ると:商品ページの接点で「不安(合ってる?届く?条件は?)」が残り、離脱している
学び
CJMは“どの接点で不安が残っているか”を特定しやすい。
ミニケース② 店舗で「気になるのに来店しない」
- 段階(AIDMA):Interest/Desire→Actionが詰まっている
- CJMで見ると:予約・混雑・アクセス・価格の不安が、来店直前に増えている
学び
来店の“最後の一押し”は、体験よりも「不安除去」になっていることが多い。
ミニケース③ 「買った後」の満足が次の集客に繋がらない
- 段階(AISAS):Shareが弱い
- CJMで見ると:開封・利用後の接点で「語れる材料」や「投稿導線」が不足している
学び
Shareは偶然任せにせず、体験と導線で設計できる。
5. 御社の前提(ターゲット・約束)をもう一度確認
第7回も前提は固定します(第4〜6回と同じ)。
① 文房具カフェ(実店舗)
- ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性
- USP(例):休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験
- RTB(例):体験導線/空間品質/企画性
② 文房具カフェオンラインストア(自社EC)
- ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心 + 作品理解・作品愛(デザイン)重視
- USP(例):作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ
- RTB(例):企画背景説明/デザインの見せ方/販売条件や発送目安の明確さ
③ ユウセイ堂(モール型)
- ターゲット:検索・比較で早く確実に買いたい + 合致・期待通りに届く不安なく満足したい
- USP(例):合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”
- RTB(例):型番・仕様の明確さ/誤認防止の表現/運用品質(検品・梱包・対応)
6. 御社の例:CJMを“読むだけで作れる形”で見る(仮説テンプレ付き)
ここは理解を助けるための 仮説例です。
CJMは「完璧な一枚」より、仮説で作って→現場で検証して→更新する方が実務で回ります。
この章の見方(テンプレ)
それぞれの段階ごとに、接点 → 感情 → 障壁 → 改善(USP/RTB/4P) の順で並べています。
Tutor LMSで表が崩れやすい場合があるため、表ではなく「ブロック」で同じ情報を整理しています。
6-A. 文房具カフェ(実店舗)CJM(AIDMA寄り)
目的(お客様のゴール):休日に、表参道/原宿で「おしゃれで特別」な体験をして満足する
USP:休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験
Attention(知る)
- 主な接点(例):Instagram/TikTok、友人の投稿、Web記事
- 感情(例):「気になる」
- 障壁(不安・手間):どんな店か分からない
- 改善の方向:USPを短く(特別体験)+写真で雰囲気(Promotion)
Interest(調べる・検討する)
- 主な接点(例):公式サイト、Googleマップ、メニュー/イベント情報
- 感情(例):「行ってみたい」
- 障壁(不安・手間):料金・所要時間・混雑が不明
- 改善の方向:RTB:料金体系/所要時間/混雑目安(Price/Place)
Desire(予定に入れたい)
- 主な接点(例):予約ページ、アクセス案内、当日の流れ
- 感情(例):「予定に入れたい」
- 障壁(不安・手間):予約が面倒/失敗したくない
- 改善の方向:RTB:予約手順、注意点、当日の流れ(Place/Communication)
Memory(思い出す/当日までの期待)
- 主な接点(例):予約確認、リマインド、次回企画
- 感情(例):「楽しみ」
- 障壁(不安・手間):行き方・当日段取りが不安
- 改善の方向:リマインドの質(Communication)+企画更新(Product/Promotion)
Action(来店・体験)
- 主な接点(例):来店、店内体験、会計
- 感情(例):「満足したい」
- 障壁(不安・手間):待ち/導線/注文が分かりにくい
- 改善の方向:体験導線の磨き込み(Product/Place)+スタッフ説明(Communication)
After(共有・再来店検討)
- 主な接点(例):写真投稿、友人に共有、再来店検討
- 感情(例):「共有したい」
- 障壁(不安・手間):何を投稿すれば良いか分からない
- 改善の方向:投稿しやすいポイント提示(Promotion)+体験設計(Product)
“効きやすい改善”の当たり(仮説)
Interest→Desire、Desire→Action
→ 休日の予定に入れる直前に「混雑/予約/料金/所要時間」の不安が出やすい。
6-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)CJM(AISAS)
目的:買い逃しなく、正規ルートの安心のもと、作品理解・作品愛が感じられるデザインのコラボ商品を購入して満足する
USP:作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ
Attention(知る)
- 接点:公式SNS、作品ファンの拡散、告知画像
- 感情:「良さそう」
- 障壁:情報が断片的
- 改善:USPの入口(作品愛×安心)を一言で(Promotion)
Interest(気になる)
- 接点:商品一覧、特集ページ、ビジュアル
- 感情:「欲しい」
- 障壁:どこが良いか伝わりにくい
- 改善:RTB:デザイン意図/こだわりを短く(Product/Communication)
Search(比較・確認)
- 接点:商品詳細、FAQ、販売条件、発送目安
- 感情:「本当に大丈夫?」
- 障壁:買い逃し不安/正規性不安/条件が複雑
- 改善:RTB強化:期間/受注/発送/注意事項を整理(Place/Price/Communication)
Action(購入)
- 接点:カート、決済、確認メール
- 感情:「間違えたくない」
- 障壁:総額・送料・締切の見落とし
- 改善:重要情報の再提示(Price/Place)+購入導線の簡潔化
Share(共有)
- 接点:開封、SNS投稿、レビュー
- 感情:「共有したい」
- 障壁:語れる材料が不足
- 改善:企画背景・投稿例・タグ(Promotion)+開封体験(Product)
“効きやすい改善”の当たり(仮説)
Search→Action
→ 「安心」「買い逃し回避」は、SearchでのRTBが薄いと一気に失速する。

6-C. ユウセイ堂(モール型)CJM(AISAS)
目的:探している商品と合致していると確信し、期待通りに届く安心のもとで、早く満足して購入する
USP:合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”
Attention(見つける)
- 接点:モール検索結果、ランキング、サムネ
- 感情:「候補に入る」
- 障壁:一見で違いが分からない
- 改善:USP入口(合致/届く)を見出しで(Promotion)
Interest(確認したい)
- 接点:商品ページ冒頭、要点サマリ
- 感情:「確認したい」
- 障壁:何を見れば判断できるか不明
- 改善:“合致判断の要点”を先に提示(Product/Communication)
Search(合致の確信)
- 接点:仕様/型番/対応、比較表、Q&A
- 感情:「合っているか?」
- 障壁:合致不安/買い間違い不安
- 改善:RTB:仕様・対応条件・比較軸を明確化(Product)
Action(購入)
- 接点:購入、配送条件、返品/交換
- 感情:「届くか?」
- 障壁:期待通りに届く不安
- 改善:RTB:配送・検品・梱包・対応方針を明示(Place/Communication)
Share(レビュー・再購入)
- 接点:レビュー、再購入
- 感情:「良ければ評価」
- 障壁:問題発生時の不安
- 改善:対応品質・案内の明確さ(Communication)
“効きやすい改善”の当たり(仮説)
Search→Action
→ 「合致の確信」+「届く安心」が揃って初めて購入されやすい。

7. よくある失敗(CJMで起きがちなこと)
- 段階だけで終わる:接点(どこで)と感情(どう感じる)がないと改善が具体化しない
- RTBが“後出し”になる:不安が出る前/出た直後の接点に置けていない
- 担当部署ごとに部分最適:SNSは頑張るが商品ページが弱い、など導線の断絶が起きる
- 改善が抽象のまま:「分かりやすくする」ではなく、どの情報をどこに置くかまで落とす必要がある
8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)
使い方:まずは ①〜③(担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。
※枠内をドラッグ選択してコピーしてください(折り返し設定済み)。
① 文房具カフェ:実店舗CJMを作る(AIDMA+接点・感情)
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性。 前提USP:「休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験」。 AIDMAの各段階について、 - 主要接点(2〜4個) - 顧客の感情(期待/不安/迷い/満足のいずれかで1行) - 障壁(不安・手間)を2つ - 改善案(USPを出す/RTBを置く/4Pのどれを直すか) を表形式で作ってください。
② オンラインストア:Search→Actionの不安を分解してCJM化
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット: - コラボ商品を買い逃したくない - 正規ルートで安心して買いたい - 作品理解・作品愛(デザイン)が重要 前提USP:「作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ」。 AISASの各段階について、 - 接点 - 顧客の不安(買い逃し/正規性/条件/発送など) - 不安を潰すRTB(情報項目) - そのRTBを置くべき場所(ページ上の位置も含めて) を整理してください。
③ ユウセイ堂:合致不安と届く不安を分けてCJM化
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット: - モールで検索・比較して、早く確実に買いたい - 探している商品と合致しているか不安 - 期待した商品が届くのか不安 前提USP:「合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”」。 AISASの各段階について、 - 接点 - 合致不安を潰すRTB(仕様・型番・対応条件・比較) - 届く不安を潰すRTB(検品・梱包・配送・対応) を分けて表形式で作り、最重要の改善接点を2つ選んで理由も書いてください。
④ 3チャネル横断:共通の障壁とチャネル固有の障壁を抽出
文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)について、 CJMの観点で「共通して出やすい不安(障壁)」と「チャネル固有の不安」を整理してください。 さらに、各チャネルで最も効果が出やすい改善接点を1つずつ選び、何を改善すべきか提案してください。
⑤ 理解チェック:CJMのクイズ
今日のテーマ「カスタマージャーニーマップ」について理解チェック問題を5問作ってください。 形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。 例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。
9. 理解チェック(3問・5分)
- AIDMA/AISASと、カスタマージャーニーマップの違いは何?
- CJMで「感情」と「障壁」を書く理由は?
- CJMの改善案で、USPとRTBはどの段階(接点)に置くことが多い?
10. 今日のまとめ(3行)
- CJMは、AIDMA/AISASの段階を「接点」と「感情/障壁」に落とし、改善点を接点単位で特定する道具。
- 改善の基本は、不安(障壁)が生まれる接点にRTBを置き、前に進む導線を整えること。
- 御社は、店舗=来店直前の不安、オンライン=買い逃し/正規性不安、モール=合致不安と届く不安、が強いテーマになりやすいため、CJMで接点ごとに潰すと効果が出やすい。
次回予告(第8回)
次回は KPI設計(KPIツリー) に進みます。
第7回で見つけた「詰まりの接点」を、数字で追える形(指標)に変換し、
改善が前に進んでいるかを定量で確認できるようにします。