第8回カリキュラム(ver1.0)
KGI / KSF / KPI:第7回(CJM)で見つけた“詰まり”を、目標→成功要因→指標に落として「改善が前進しているか」を数字で追えるようにする
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂の例)
第8回は、第7回(CJM)で見つけた「詰まり」を、KGI → KSF → KPI に変換します。
目的は、改善を感覚ではなく数字で運用できる状態にすることです。
0. まず第7回(CJM)の要点を簡単に復習(3分)
第7回では、AIDMA/AISASの段階をさらに具体化し、
接点(タッチポイント)×感情(期待/不安/満足)×障壁(不安・手間)で
「どこが詰まっているか」を可視化しました。
CJMで分かること:
- どの接点で不安が生まれ、どこで解消されるべきか
- 改善を「接点単位」で特定できる(例:商品ページ冒頭、FAQ、予約導線、配送条件表示 など)
ただしCJMだけだと、改善はこうなりがちです。
- “良さそうな改善案”が多く、どれを優先すべきかが決まらない
- 改善後に「良くなったか」を、感覚で判断してしまう
- 部署ごとに部分最適になり、全体の目的に繋がっているかが不明になる
そこで第8回でやること
CJMで見つけた改善点を KGI → KSF → KPI に落として、改善活動を「数字で運用」できる形にします。
1. 今日のゴール(この回でできるようになること)
- KGI / KSF / KPI の違いを説明できる
- CJMで見つけた“詰まり”を、KGI→KSF→KPIの形に変換できる
- 御社3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、優先すべき指標の当たりをつけられる(仮説でOK)
この回のキーメッセージ
- KGI=ゴール(最終成果)
- KSF=成功条件(状態)
- KPI=進捗(兆し)
- CJMの障壁(不安・手間)はKSFの宝庫
今日のアウトプット(軽量版)
- KGIを1つに絞る
- KSFを状態で3つ書く
- 各KSFにKPIを1〜3個置く(先行指標多め)
- 見る頻度(週次など)を決める
2. KGI / KSF / KPIとは何か:改善を「目的→成功要因→指標」に分解する
2-1. 定義(このカリキュラムでの扱い)
KGI(Key Goal Indicator)
→ 事業として「最終的に達成したいゴール」を表す指標。
例:売上、利益、来店数、購入件数 など(※部署や役割で解像度は変える)
KSF(Key Success Factor)
→ KGIを達成するために「成功のカギになる要因」。
例:来店前不安の解消、買い逃し不安の解消、合致確認のしやすさ、配送信頼 など
ポイント
KSFは“施策そのもの”ではなく、状態(成功条件)として書く。
(例:商品合致が判断できる/買い逃し不安がない)
KPI(Key Performance Indicator)
→ KSFが満たされているか(改善が進んでいるか)を測る指標。
例:予約完了率、商品ページ滞在、FAQ閲覧率、レビュー率、誤配送率、問い合わせ率 など

2-2. 3つの違いを一言で
- KGI:ゴール(最終成果)
- KSF:勝ち筋(成功条件・重要要因)
- KPI:進捗(勝ち筋が実現できているかの計測)
2-3. よくある混乱(ここが重要)
- KPIを追っているのにKGIが伸びない
→ KPIが「KSFに紐づいていない」か、「KSF自体がズレている」可能性 - KSFが“施策の羅列”になる
→ KSFは「状態」で書く(例:商品合致が判断できる、買い逃し不安がない) - KGIが大きすぎて現場が動けない
→ KGIは「現場の責任範囲」に合わせて分解してよい(例:店舗なら来店・予約、ECなら購入、モールならCVR等)
3. どの順序で考えるか:CJM → KGI/KSF/KPI(実務手順)
おすすめは次の 5ステップです。
Step 0:前提固定(ターゲット・USP・RTB)
第4回までの「誰に何を約束し、何で信じてもらうか」を固定します。
Step 1:KGIを決める(今回の“最終ゴール”)
- まずは1つに絞る(KGIが複数あると運用がブレます)
- 例:店舗=来店(または予約)/自社EC=購入件数(または売上)/モール=購入件数(CVR中心)
Step 2:CJMからKSFを抽出する(詰まり=成功要因の候補)
CJMの「障壁(不安・手間)」が、KSFの有力候補です。
- 店舗:予約・混雑・料金・所要時間の不安が消えている
- 自社EC:買い逃し不安・正規性不安が消え、作品理解/作品愛が伝わっている
- モール:合致確認ができ、期待通りに届く安心がある
Step 3:KSFを“状態”として書き直す
良いKSFは「〜できている」「〜が明確」「〜の不安がない」などの状態表現になります。
Step 4:KSFごとにKPIを置く(先行指標を中心に)
KPIは「結果」だけでなく、先行指標(改善が効いている兆し)を混ぜます。
(例:FAQ閲覧率、ページ到達率、比較表の閲覧率、予約導線クリック率 など)
Step 5:KPIの見方(頻度・責任範囲)を決める
- 日次/週次/キャンペーン単位など「見るリズム」を決める
- 誰が見て、何を判断するか(例:KPIが下がったらRTBを増やす、など)
4. 学ぶ意欲が上がる「成功事例」:KGI/KSF/KPIで見ると“打ち手の筋”が通る(ミニケース3つ)
※特定企業の詳細な内部指標ではなく、一般に起きやすい成功パターンをKGI/KSF/KPIの形で理解するための例です。
ミニケース① ECでCVRを上げる:KSFは「不安が消えている」状態
- KGI:購入件数(CVR)を上げる
- KSF:商品が自分に合う/条件が明確/届く不安がない
- KPI:商品詳細到達率、FAQ閲覧率、カート投入率、購入完了率、問い合わせ率(低下)
学び
KPIは「売上」だけでなく、“不安が減っている兆し”を追うと改善が速い。
ミニケース② 店舗の来店を増やす:KSFは「行ける理由が揃っている」状態
- KGI:来店(予約)を増やす
- KSF:行き方・混雑・料金・所要時間が分かり、予定に入れやすい
- KPI:予約ページ到達率、予約完了率、Googleマップ経由行動、問い合わせ件数(種類別)
学び
店舗は“魅力”だけでなく“予定化できる安心”がKSFになりやすい。
ミニケース③ モールで売る:KSFは「合致確認と誤認防止」が効く
- KGI:購入件数を上げる
- KSF:合致確認が簡単/買い間違いが起きにくい/期待通りに届く
- KPI:検索結果→商品ページCTR、比較情報の閲覧、返品理由(不一致)の低下、低評価レビュー率(低下)
学び
モールは“選びやすさ(合致)”と“届く安心”がKGIに直結しやすい。
5. 御社の前提(ターゲット・約束)をもう一度確認
第8回も前提は固定します(第4〜7回と同じ)。
① 文房具カフェ(実店舗)
- ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性
- USP(例):休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験
- RTB(例):体験導線/空間品質/企画性
② 文房具カフェオンラインストア(自社EC)
- ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心 + 作品理解・作品愛(デザイン)重視
- USP(例):作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ
- RTB(例):企画背景説明/デザインの見せ方/販売条件や発送目安の明確さ
③ ユウセイ堂(モール型)
- ターゲット:検索・比較で早く確実に買いたい + 合致・期待通りに届く不安なく満足したい
- USP(例):合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”
- RTB(例):型番・仕様の明確さ/誤認防止の表現/運用品質(検品・梱包・対応)
6. 御社の例:KGI→KSF→KPIを、CJMの「詰まり」に対応させて作る(仮説例)
ここは理解を助けるための 仮説例です。
実際には、現場データ(アクセス、予約、売上、問い合わせ、レビュー、返品理由など)に合わせて調整します。
6-A. 文房具カフェ(実店舗)
KGI(ゴール:今回の最終指標)
- KGI案:休日の来店数(または予約完了数)を増やす
※運用しやすさ重視なら「予約完了数」をKGIにしてもOKです。
KSF(成功要因:満たすべき状態)— CJMの障壁から抽出
- KSF1:来店前に「料金・所要時間・体験内容」が理解でき、予定に入れやすい
- KSF2:混雑・予約の不安が減り、当日の不安が少ない
- KSF3:SNSや友人の投稿から「おしゃれで特別」が伝わり、行く理由が明確
KPI(進捗指標:KSFが満たされているか)
KSF1に対応するKPI(予定に入れやすい)
- 「料金/所要時間/体験説明」ページの到達率
- 当該ページのスクロール率/滞在時間(理解の兆し)
- 「料金/所要時間」に関する問い合わせ件数(減少が望ましい)
KSF2に対応するKPI(当日の不安が少ない)
- 予約ページ到達率 → 予約完了率
- 予約/混雑に関する問い合わせ件数(減少が望ましい)
- Googleマップ経由のルート検索・電話(参考)
KSF3に対応するKPI(行く理由が明確)
- SNS投稿からのプロフィール遷移/サイト流入
- イベント告知のクリック率
- 来店後の投稿数(Shareに相当:増加が望ましい)
読み方(切り分け)
KGI(来店/予約)が伸びない時、どのKSFのKPIが弱いかで原因を切り分ける。
6-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)
KGI(ゴール)
- KGI案:コラボ商品の購入件数(または売上)を増やす
※買い逃し回避が重要なので、キャンペーン/受注期間ごとに見る設計が向きます。
KSF(成功要因)
- KSF1:「買い逃し不安」が減り、条件(期間/受注/発送)が明確
- KSF2:「正規ルートの安心」が伝わり、購入前不安が解消
- KSF3:「作品理解・作品愛(デザイン品質)」が伝わり、納得して買える
KPI(KSFに対応)
KSF1に対応するKPI(買い逃し不安)
- 「販売期間/締切/受注/発送目安」セクションの閲覧率(到達率)
- カート投入率(不安が減ると上がりやすい)
- 締切前の購入集中度(偏りが大きい場合は情報不足の可能性)
KSF2に対応するKPI(安心)
- FAQ閲覧率(必要な人に届いているか)+FAQ閲覧後の購入率
- 問い合わせ率(正規性や条件の質問が多いならRTB不足の可能性)
- キャンセル率(条件誤解の兆候)
KSF3に対応するKPI(作品理解・作品愛)
- 企画背景/デザイン意図セクションの閲覧率
- 画像の拡大・ギャラリー閲覧(デザイン確認行動)
- 購入後レビューで「デザイン」言及率(満足の兆し)
読み方(切り分け)
KGIが伸びない場合、「不安(KSF1/2)」と「納得(KSF3)」どちらが弱いかをKPIで切り分ける。
6-C. ユウセイ堂(モール型)
KGI(ゴール)
- KGI案:モール内の購入件数を増やす(特にCVR改善が中心になりやすい)
KSF(成功要因)
- KSF1:探している商品と「合致している」と判断でき、買い間違い不安がない
- KSF2:期待通りに届く(検品・梱包・配送・対応)という安心がある
- KSF3:比較・判断がスムーズで、迷わず購入できる
KPI(KSFに対応)
KSF1に対応するKPI(合致確認)
- 「仕様/型番/対応条件」セクションの閲覧率
- Q&A閲覧率(合致不安の受け皿)
- 返品理由のうち「不一致」割合(低下が望ましい)
KSF2に対応するKPI(届く安心)
- 低評価レビュー率(配送/梱包/不良の言及)
- 出荷遅延率/問い合わせ率(配送関連)
- 返品・交換率(品質/誤配送の兆候)
KSF3に対応するKPI(迷わず買える)
- 検索結果→商品ページCTR(見つけやすさ)
- カート投入率、購入完了率(迷いの少なさ)
- 比較表/注意事項の閲覧率(判断材料が機能しているか)
読み方(切り分け)
CVRが下がった時、「合致不安」か「届く不安」か「迷い」かをKPIで特定し、RTB(情報/運用)を増やす。
7. よくある失敗(KGI/KSF/KPIで起きがちなこと)
- KPIが多すぎて運用不能:最初は「各KSFにつきKPI1〜3個」で十分
- KPIが施策の出来不出来を測っていない:KPIは“状態(KSF)”を測る
- 数字が取れないKPIを置く:計測できる指標から始め、段階的に高度化する
- KGIが部署の責任範囲とズレる:現場が動けるKGIに分解する(予約完了、購入完了など)
8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)
使い方:まずは ①〜③(担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。
※枠内をドラッグ選択してコピーしてください(折り返し設定済み)。
① 文房具カフェ:CJMからKGI→KSF→KPIを作る
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性。 前提USP:「休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験」。 文房具カフェ(実店舗)について、 1) KGIを1つ 2) KSFを3つ(「状態」で表現) 3) 各KSFに対するKPIを2つずつ(先行指標を優先) を提案してください。 最後に「CJMのどの障壁に対応しているか」もひも付けてください。
② オンラインストア:買い逃し不安/安心/デザイン満足をKSFに落とす
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット: - コラボ商品を買い逃したくない - 正規ルートで安心して買いたい - 作品理解・作品愛(デザイン)が重要 前提USP:「作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ」。 オンラインストアについて、KGI→KSF→KPIを作ってください。 条件: - KSFは「買い逃し不安の解消」「安心」「デザイン納得」の3系統を必ず含む - KPIは「計測しやすいもの」と「本質を測るもの」を混ぜる - 最後に、KPIが悪化した時の打ち手(RTB追加/導線変更など)を各KSFごとに1つ提案
③ ユウセイ堂:合致不安と届く不安を分けて設計する
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット: - モールで検索・比較して、早く確実に買いたい - 探している商品と合致しているか不安 - 期待した商品が届くのか不安 前提USP:「合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”」。 ユウセイ堂(モール型)について、KGI→KSF→KPIを作ってください。 条件: - KSFは「合致確認」「届く安心」「迷わず買える」を含む - KPIは「CVR系」だけでなく「不一致返品」「低評価レビュー」などの品質系も入れる
④ 3チャネル横断:KGI/KSFの整合(食い合い防止)
文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)の KGI/KSFが食い合わないように整合させたいです。 各チャネルのKGIを1つずつ提案し、KSFを2つずつに絞ってください。 さらに「全社共通のKSF」を1つ提案し、その理由も説明してください。
⑤ 理解チェック:KGI/KSF/KPIクイズ
今日のテーマ「KGI/KSF/KPI」について理解チェック問題を5問作ってください。 形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。 例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。
9. 理解チェック(3問・5分)
- KGI・KSF・KPIの違いを一言で言うと?
- KSFを「施策」ではなく「状態」で書くのはなぜ?
- KPIを“先行指標”中心に置くメリットは?
10. 今日のまとめ(3行)
- KGIはゴール、KSFは成功条件、KPIは進捗。KGI→KSF→KPIに分解すると、改善が運用できる。
- CJMの「障壁(不安・手間)」はKSFの宝庫。不安が減っている兆しをKPIで追うと改善が速い。
- 御社は、店舗=来店前不安、自社EC=買い逃し/正規性不安+デザイン納得、モール=合致不安+届く不安、がKSFになりやすい。
次回予告(第9回)
次回は ファネル分解(どこで落ちているかの切り分け) に進みます。
第8回で置いたKPIを、AISASや導線上に配置し、
「見られていない/見られているが買われない/不安で止まっている」など原因を切り分けられるようにします。