第9回カリキュラム(ver1.0)
ファネル分解(段階×指標):KGI/KSF/KPIを「どこで落ちているか」に配置し、原因を“切り分け”できるようにする
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂の例)
第9回は、第8回で置いた KGI / KSF / KPI を、ファネル(段階)に配置します。
目的は「どこで落ちているか」を直感的に見える化し、原因を数字で切り分けられる状態にすることです。
0. まず第8回(KGI / KSF / KPI)の要点を簡単に復習(3分)
第8回では、CJMで見つけた“詰まり”を、改善が運用できる形にするために
KGI→KSF→KPI に落としました。
- KGI:最終ゴール(来店数、購入件数、売上など)
- KSF:成功要因(満たすべき状態)
- KPI:KSFの進捗を測る指標(先行指標を中心に)
ただし、KGI/KSF/KPIを置いただけだと、次の課題が残ります。
- KPIが散らばって見え、“どこで落ちているのか”が直感的に分からない
- KGIが悪化したときに、どのKSFが原因かを 切り分ける時間がかかる
- 改善の議論が「施策案出し」に偏り、原因の特定が弱いまま実行してしまう
そこで第9回でやること
KPIを ファネル(段階)に配置し、
「どの段階で落ちているか」「原因は何系統か」を切り分ける方法を身につけます。
1. 今日のゴール(この回でできるようになること)
- ファネル分解が何のための道具かを説明できる(原因を切り分ける)
- 第8回の KGI/KSF/KPIをファネル(段階)にマッピングできる
- 3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、
“見られていない”のか“見られているが進まない”のか“不安で止まる”のかを切り分けられる(仮説でOK)
この回のキーメッセージ
- KPIは段階に置くと見える
- 原因は上流/中流/下流で切れる
- まずどこで落ちたか、次になぜ落ちたか
- 施策は最後(原因特定の後)
今日のアウトプット(軽量版)
- 対象チャネルとKGIを固定
- ファネル(段階)を4〜6段階で置く
- 各段階にKPIを1〜3個
- 切り分け手順(上流→下流)を固定
2. ファネル分解とは何か:KPIを「段階」に並べて、落ちている場所を特定する
ファネル分解は、ひと言で言うと次の考え方です。
定義(この回の結論)
お客様の行動の流れ(段階)に、KPIを置いて“どこで落ちているか”を見える化する
第6回ではAIDMA/AISASで段階を学び、第7回ではCJMで接点まで落とし、第8回でKGI/KSF/KPIを作りました。
第9回では、それらをつなぎます。
- 段階(流れ):AIDMA/AISAS、あるいは「表示→クリック→詳細→カート→購入」など
- 指標(測る):KPI
- 目的(切り分け):
- “露出不足”なのか
- “比較・理解不足”なのか
- “不安(RTB不足)”なのか
- “導線(Place)”なのか
- “条件(Price)”なのか
これらを、議論ではなく数字で当てやすくします。
3. どの順序で考えるか:KGI/KSF/KPI → ファネル(実務手順)
おすすめは次の 5ステップです。
Step 0:対象(チャネル)とKGIを固定する
例:店舗=予約完了数、自社EC=購入完了数、モール=購入件数(CVR)など。
Step 1:段階(ファネル)を置く
- 店舗は AIDMA(または「認知→検討→予約→来店」)が見やすい
- 自社EC/モールは AISAS(またはECの一般ファネル)が見やすい
Step 2:KSFを段階に割り当てる
KSF(成功条件)が、どの段階で効くべきかを決めます。
(例:モールの「合致確認」はSearch段階で効く、など)
Step 3:KPIを段階にマッピングする
各段階に「1〜3個」ずつ置くのが運用しやすいです(最初は少なく)。
Step 4:切り分けルールを決める
KGIが落ちたとき、どの段階のKPIから見るか(上流→下流)を固定します。
例:まず露出(Attention)→ 次に比較(Search)→ 次に購入(Action)。
4. 学ぶ意欲が上がる「典型パターン」:ファネルでの落ち方は大きく3種類
ファネル分解の強みは「落ち方の型」に当てると早いことです。典型は次の3つです。
パターンA:そもそも見られていない(上流が弱い)
- 症状:KGI低下+上流KPI(表示数、CTR、流入)が低い
- 打ち手の方向:露出、クリエイティブ、検索対策、導線の入口改善(Promotion/Place)
パターンB:見られているが、比較・理解で止まる(中流が弱い)
- 症状:流入はあるが、詳細到達・滞在・比較系KPIが弱い
- 打ち手の方向:情報設計、比較表、写真、FAQ、要点サマリ(Product/Communication)
パターンC:最後の不安・条件で止まる(下流が弱い)
- 症状:カート/予約直前までは行くが、完了率が落ちる
- 打ち手の方向:条件の明確化(送料/締切/返品等)、購入導線、在庫/納期、信頼(RTB)(Price/Place/Communication)

5. 御社の前提(ターゲット・約束)をもう一度確認
第9回も前提は固定します(第4〜8回と同じ)。
① 文房具カフェ(実店舗)
- ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性
- USP(例):休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験
- RTB(例):体験導線/空間品質/企画性
② 文房具カフェオンラインストア(自社EC)
- ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心 + 作品理解・作品愛(デザイン)重視
- USP(例):作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ
- RTB(例):企画背景説明/デザインの見せ方/販売条件や発送目安の明確さ
③ ユウセイ堂(モール型)
- ターゲット:検索・比較で早く確実に買いたい + 合致・期待通りに届く不安なく満足したい
- USP(例):合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”
- RTB(例):型番・仕様の明確さ/誤認防止の表現/運用品質(検品・梱包・対応)
6. 御社の例:ファネル(段階)にKPIを置いて、落ちている場所を切り分ける(仮説例)
ここは理解を助けるための 仮説例です。
実務では「取れる数字」から始め、取れないものは段階的に計測を整えます。
6-A. 文房具カフェ(実店舗)
推奨ファネル:AIDMA簡略版(認知→検討→予定化→予約/来店)
KGI(例):休日の予約完了数(または来店数)
| 段階(ファネル) | 代表的なKSF(例) | KPI例(各段階1〜3個) | 落ちた時の見立て |
|---|---|---|---|
| Attention(認知) | 「おしゃれで特別」が一目で伝わる | SNS投稿の到達/プロフィール遷移、Googleマップ閲覧数 | パターンA(上流不足) |
| Interest(検討) | 体験内容が具体に理解できる | 公式サイト流入、料金/所要時間ページ到達率 | パターンB(理解不足) |
| Desire(予定化) | 予定に入れやすい(不安が少ない) | 予約ページ到達率、混雑/予約問い合わせ数(減) | パターンB/C(不安・手間) |
| Action(予約/来店) | 迷わず完了できる | 予約完了率、当日キャンセル率(低下) | パターンC(下流詰まり) |
| After(共有/再来店) | 共有/次回動機が生まれる | 来店後投稿数、次回企画クリック | Share弱い=次の認知に効かない |
切り分け例(読み方)
予約完了数が落ちた → ①SNS到達/遷移は?(認知)→ ②料金/所要時間ページ到達は?(検討)
→ ③予約到達と予約完了率は?(予定化→行動)で、上流・中流・下流のどこが原因かを当てます。
6-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)
推奨ファネル:AISAS簡略版(流入→詳細→条件確認→カート→購入→共有)
KGI(例):購入完了数(または売上)
| 段階(ファネル) | KSF(例) | KPI例 | 落ちた時の見立て |
|---|---|---|---|
| Attention/Interest(流入) | 作品理解・作品愛×安心が伝わる入口 | SNS/メルマガ流入、特集ページ閲覧 | 上流不足(A) |
| Search(詳細・比較) | 買い逃し不安/正規性不安が減る | 販売期間/発送目安セクション閲覧率、FAQ閲覧率 | 中流詰まり(B)=RTB不足 |
| Action(カート) | 迷いなく進める | カート投入率 | 下流手前の詰まり(C) |
| Action(購入完了) | 条件誤解がない/総額が明確 | 購入完了率、キャンセル率 | 下流詰まり(C)=条件/導線 |
| Share | 語れる要素がある | レビュー率、SNS投稿誘発 | Share弱い=次の流入に効かない |
切り分け例
購入完了数が落ちた → 流入は落ちている?(上流)→ 詳細到達はある?(中流)
→ 販売期間/発送目安・FAQを見ても購入に進めている?(RTBの効き)
→ カート投入率と購入完了率、どちらが落ちている?(下流のどこか)を順に見ます。
6-C. ユウセイ堂(モール型)
推奨ファネル:モール購買ファネル(表示→クリック→比較→購入→満足)
KGI(例):購入件数(CVR改善)
| 段階(ファネル) | KSF(例) | KPI例 | 落ちた時の見立て |
|---|---|---|---|
| Attention(表示) | 見つけやすい | 表示回数(IMP) | 露出不足(A) |
| Interest(クリック) | 候補に入りやすい | CTR(検索結果→商品ページ) | タイトル/画像/訴求の問題(A) |
| Search(合致確認) | 合っていると判断できる | 仕様/対応条件セクション閲覧率、Q&A閲覧率 | 合致不安(B)=RTB不足 |
| Action(購入) | 期待通りに届く安心 | 購入完了率、返品理由「不一致」率(低下) | 下流詰まり(C)=不安/条件 |
| After(満足/レビュー) | 安心の裏付けが残る | 低評価レビュー率(低下)、配送/梱包言及 | “届く安心”の品質管理 |
切り分け例
購入件数が落ちた → ①表示(IMP)なのか ②CTRなのか(入口)
→ ③合致確認(仕様/対応閲覧が機能しているか)
→ ④購入完了率・返品/低評価(届く安心)の順で、原因を段階ごとに切ります。
7. よくある失敗(ファネル分解で起きがちなこと)
- 段階とKPIが対応していない:段階ごとの役割(次に進める)に合うKPIを置く
- 上流を見ずに下流を直す:露出不足なのに購入導線だけ直しても効かない
- KPIが多すぎる:各段階1〜3個に絞る(まず運用できる形に)
- 施策が先に出る:まず「どこで落ちているか」を特定してから施策を出す
8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)
使い方:まずは ①〜③(担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。
※枠内をドラッグ選択してコピーしてください(折り返し設定済み)。
① 文房具カフェ:店舗ファネルにKPIを置き、切り分けルールを作る
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット:表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性。 前提KGI:予約完了数。 AIDMAを簡略化して「認知→検討→予定化→予約」の4段階ファネルを作り、 各段階にKPIを2つずつ置いてください。 さらに、KGIが落ちた時に上流→下流の順で見る「切り分け手順」を箇条書きで提案してください。
② オンラインストア:AISASファネルで“買い逃し不安/安心/デザイン納得”を切り分ける
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視。 前提KGI:購入完了数。 AISAS(A/I/S/A/S)の各段階に、KSF(買い逃し不安の解消、安心、デザイン納得)が どこで効くべきかを割り当て、各段階のKPIを1〜3個ずつ提案してください。 最後に「Searchが弱い場合に起きる症状」と「改善の方向(RTB/導線/条件)」を整理してください。
③ ユウセイ堂:合致確認と届く安心を“別ファネル”として見る
あなたは社内マーケ講師です。 前提ターゲット:モールで検索・比較して早く確実に買いたい/合致不安・届く不安をなくしたい。 前提KGI:購入件数(CVR)。 モール購買ファネルを「表示→クリック→合致確認→購入→満足」に分け、 各段階のKPIを2つずつ置いてください。 さらに「合致不安」と「届く不安」を切り分けるために見るべき指標セットを提案してください。
④ 3チャネル横断:共通ファネル(上流/中流/下流)で見える化する
文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)について、 共通の切り分け軸として「上流(見られていない)/中流(比較・理解)/下流(不安・条件)」の3分類で、 それぞれの代表KPIを3つずつ提案してください。 また、各チャネルで最優先で見るべき段階を1つずつ選び、理由も書いてください。
⑤ 理解チェック:ファネル分解のクイズ
今日のテーマ「ファネル分解(段階×指標)」について理解チェック問題を5問作ってください。 形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。 例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。
9. 理解チェック(3問・5分)
- ファネル分解の目的は何?(一言で)
- 「見られていない」と「見られているが進まない」は、どの段階のKPIで区別する?
- 下流で止まっている時、RTB(根拠)はどの接点に置くのが基本?
10. 今日のまとめ(3行)
- ファネル分解は、KPIを段階に配置して「どこで落ちているか」を特定し、原因を切り分ける方法。
- 落ち方は概ね 上流不足/中流(比較・理解)不足/下流(不安・条件)不足の3パターンに整理できる。
- 御社は、店舗=予定化〜予約の不安、自社EC=Search(不安解消)からAction、モール=合致確認→購入、が特に切り分けの中心になりやすい。
次回予告(第10回)
次回は 改善優先順位付け に進みます。
第9回で特定した「落ちている段階」に対して、施策候補を棚卸しし、
インパクト×確度×工数で“次にやること”を決められるようにします。