コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第11回カリキュラム(ver1.0)

検証と実験(A/Bテスト含む):第10回で選んだ上位施策を“小さく試して”勝ち筋を再現可能にする
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂の例)

第11回は、改善施策をいきなり全面導入するのではなく、
実験(検証)として小さく試して「何が効いたか」を切り分け、再現可能な勝ち筋にする回です。

所要時間
30〜45分(読む15〜20分+ChatGPTで確認10〜15分+理解チェック5分)

※重いワーク(資料作り・提出)は不要。「読む→短く確認→理解を固める」が目的です。

0. まず第10回(改善優先順位付け)の要点を簡単に復習(3分)

第10回では、ファネルで特定した“詰まり”に対して施策候補を出し、
インパクト×確度×工数で優先順位を決めました。
ここまでで「次にやること(上位1〜2手)」は決まっています。

ただし、実務でよく起きる課題が次です。

  • 施策をいきなり全体に反映し、良し悪しが分からない(学びが残らない)
  • 施策が効かなかった時、原因が「施策の内容」なのか「出し方」なのか「タイミング」なのか判断できない
  • 複数の改善が同時に走り、何が効いたのか切り分けられない

そこで第11回でやること

施策を“実装”ではなく実験(検証)として扱い、
「勝ち筋」を再現可能にする型を身につけます。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. 検証(実験)と「施策実行」の違いを説明できる
  2. A/Bテストを含む実験設計の基本(仮説/指標/比較方法/判定)を理解できる
  3. 御社3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、上位施策を小さく試す設計ができる(仮説でOK)

この回のキーメッセージ

  • 実験の目的は当たり外れではなく学びの確定
  • 仮説は1本に細く(一度に変えすぎない)
  • 指標はPrimary / Secondary / Guardrailで設計
  • A/Bできない時は前後比較・準実験で切り分ける

今日のアウトプット(軽量版)

  • 詰まり段階とKSFを固定
  • If→Then の仮説を1本
  • Primary / Secondary / Guardrail を1セット
  • 比較方法(A/B or 前後 or 準実験)+判定ルール

2. 検証と実験とは何か:改善を「再現可能」にするための作法

2-1. まず結論:実験の目的は“当たり外れ”ではなく“学びの確定”

実験は、ひと言でいうとこうです。

実験の定義(この回の結論)

「何が効いたのか」を切り分け、次に再現できる形で学びを残すための手段

単発で売上が上がった/下がった、よりも
「どの仮説が当たりで、次は何をやるべきか」が分かることが価値です。

2-2. 3つの言葉を整理(新人が混乱しやすい点)

用語 目的 典型例
施策実行 “良いはず”の改善をそのまま導入する 新しい商品ページを全面リニューアル
検証(Validation) 仮説が正しいかを確かめる 「販売条件を上に出すと不安が減るか?」を確認
実験(Experiment) 比較できる形で、因果(効いたか)を確かめる A/Bテストで「上に出す/出さない」を比較

第11回では「実験」=比較設計まで含める、と考えてください。

2-3. A/Bテストだけが実験ではない(チャネル別の現実的な選択肢)

  • A/Bテスト(Split Test):Webで最も典型。人をランダムにA/Bに割り当て比較する
  • 前後比較(Before/After):A/Bが難しい場合に使う。ただし季節性・曜日差の影響に注意
  • 準実験(Quasi)
    • 店舗:曜日や時間帯で条件を揃えて比較(例:同じ曜日の2週で比較)
    • EC/モール:SKU単位で「テスト対象商品だけ」変更し、近い商品群と比較

実務的には、完全な厳密さよりも「切り分けられる設計」を優先し、学びを回していくのが有効です。


3. どの順序で考えるか:優先施策 → 実験設計(実務手順)

おすすめは次の 7ステップです。
(第8回KGI/KSF/KPI、第9回ファネル、第10回優先施策が土台になります)

Step 0:対象の“詰まり”とKSFを固定する

例:

  • 店舗:予定化→予約(不安・手間)
  • 自社EC:Search→Action(買い逃し不安/正規性不安/条件誤解)
  • モール:合致確認→購入(合致不安/届く不安)

Step 1:仮説を「If→Then」で1本にする

仮説の型

もし(変更X)をすると、(不安/迷い)が減り、(KPI)が改善するはず

※この回で最も重要なのは「仮説を細くする」ことです。
“色々やったら良くなるはず”は実験になりません。

Step 2:成功指標を決める(主指標+補助+ガードレール)

  • 主指標(Primary KPI):一番見たい指標(例:購入完了率、予約完了率)
  • 補助指標(Secondary):なぜ改善したかの手がかり(例:カート投入率、条件セクション閲覧率)
  • ガードレール:悪化すると困る指標(例:キャンセル率、返品率、低評価レビュー率)

Step 3:比較方法を選ぶ(A/Bか、前後か、準実験か)

  • Webで分割できるならA/Bが望ましい
  • 難しければ「同条件の前後比較」または「SKU単位の準実験」

Step 4:実験の単位と範囲を決める(小さく始める)

  • ページ単位(商品ページだけ、予約ページだけ)
  • SKU単位(売れ筋の一部だけ)
  • 投稿単位(SNSで同じテーマの投稿を複数回比較)

→ いきなり全体を変えないことで、学びが残りやすくなります。

Step 5:実験期間と判定ルールを決める

  • 最低限、曜日偏りを跨ぐ(店舗なら同曜日比較、ECなら週次で見る等)
  • “途中で良さそう”で止めると誤判定が増えるため、あらかじめ区切る

※厳密な統計よりも、まずは「判断に足る差」を狙う設計(大きい差が出る可能性が高い仮説)を優先します。

Step 6:結果を見る(数字+“なぜ”を説明できる形)

  • 主指標が改善したか
  • 補助指標が想定通り動いたか(仮説の裏付け)
  • ガードレールが悪化していないか

Step 7:意思決定(ロールアウト/改善/中止)と学びの記録

  • 勝ち:全体適用+次の仮説へ
  • 微妙:仮説を修正(情報の位置、表現、量)
  • 負け:学びを残して撤退(次の施策に移る)


4. 学ぶ意欲が上がる「典型パターン」:実験で成果が出やすい題材(ミニケース3つ)

※特定企業名ではなく、実務で起きやすい成功パターンとして理解するための例です。

ミニケース① 「不安を潰す情報の前倒し」は、差が出やすい

Search→Actionで止まるECでは、販売条件・発送目安・注意事項を上に出すだけで改善することがある。
学び:不安が明確なほど、RTBの置き方の実験は確度が上がる。

ミニケース② 「要点サマリ/チェックリスト化」は、工数が低く試しやすい

説明を増やすのではなく、「判断に必要な要点」を先に出す。
学び:文章量を増やすより、順番と構造の改善が効くことが多い。

ミニケース③ 店舗は「魅力」より「予定化の不安」を潰す実験が効く

混雑、料金、所要時間、予約手順が不明確だと、最後の一押しで止まる。
学び:店舗は準実験(曜日比較など)でも、導線の改善効果を見やすい。


5. 御社の前提(ターゲット・約束)をもう一度確認

第11回も前提は固定します(第4〜10回と同じ)。

① 文房具カフェ(実店舗)

  • ターゲット:表参道/原宿エリアで、休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」と思っている20代女性
  • USP(例):休日の“おしゃれで特別”を叶える文房具体験
  • RTB(例):体験導線/空間品質/企画性

② 文房具カフェオンラインストア(自社EC)

  • ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心 + 作品理解・作品愛(デザイン)重視
  • USP(例):作品理解と作品愛が“デザインに出ている”、安心して買えるコラボ
  • RTB(例):企画背景説明/デザインの見せ方/販売条件や発送目安の明確さ

③ ユウセイ堂(モール型)

  • ターゲット:検索・比較で早く確実に買いたい + 合致・期待通りに届く不安なく満足したい
  • USP(例):合致確認ができ、期待通りに届く“安心な買い物”
  • RTB(例):型番・仕様の明確さ/誤認防止の表現/運用品質(検品・梱包・対応)

6. 御社の例:優先施策を「実験」に落としてみる(仮説例)

ここは理解を助けるための 仮説例です。
第10回で選んだ上位施策を、そのまま“実験設計”に変換するイメージで読んでください。

6-A. 文房具カフェ(実店舗)

想定の詰まり(第9回)

予定化→予約(行きたいが、予約に進まない)

実験案(準実験を含む)

実験テーマ:来店前不安(料金・所要時間・混雑・予約手順)を減らすと予約が増えるか?

  • 仮説(If→Then)
    もし「料金・所要時間・混雑目安・予約手順」を1ページに集約し、SNS/プロフィールから到達しやすくすると、来店前不安が減り、予約完了数が増えるはず。
  • 主指標(Primary):予約完了数(または予約完了率)
  • 補助指標(Secondary):予約ページ到達率/料金・所要時間ページ到達率
  • ガードレール:予約キャンセル率/問い合わせ件数(料金・混雑系)
  • 比較方法(現実的な案)
    • WebをA/Bできる場合:予約導線(A=現状、B=集約ページ経由)で比較
    • A/Bが難しい場合:同じ曜日で2週比較(前後比較)+投稿量・広告の条件を揃える
  • 判定の考え方
    予約完了の増加に加え、「問い合わせ減」など不安低下の兆しが見えると仮説が強くなる。

6-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)

想定の詰まり(第9回)

Search→Action(詳細は見るが購入に進まない)

実験案(A/B向き)

実験テーマ:「買い逃し不安/条件不安」を上流で潰すと、カート投入・購入が増えるか?

  • 仮説(If→Then)
    もし商品ページの上部(ファーストビュー近く)に「販売期間・締切・受注/在庫・発送目安・注意事項の要点」を置くと、買い逃し不安と条件不安が減り、カート投入率と購入完了率が上がるはず。
  • 主指標(Primary):購入完了率(または購入完了数)
  • 補助指標(Secondary):カート投入率/要点セクション閲覧率/FAQ閲覧率
  • ガードレール:キャンセル率/返品・交換問い合わせ率(条件誤解の兆候)
  • 比較方法:A/B(A=現状、B=要点の前倒し)
  • 判定の考え方
    • 主指標が上がり、補助指標(要点閲覧→カート)が想定通り動けば「不安起因」の仮説が強い
    • 主指標は上がるがキャンセルが増える場合、表現・注意事項の出し方に調整余地

補足(同じく試しやすい題材)

「FAQを“よくある不安”順に上部へ」移す実験も、工数が軽く差が出やすい候補です。

6-C. ユウセイ堂(モール型)

想定の詰まり(第9回)

合致確認→購入(仕様は見るが確信が持てず購入しない)

実験案(SKU単位の準実験が現実的)

実験テーマ:「合致確認のチェックリスト化」で買い間違い不安を減らせるか?

  • 仮説(If→Then)
    もし商品ページ冒頭に「合致確認チェックリスト(型番/仕様/サイズ/対応条件)」を置き、判断に必要な情報へ最短で到達できる構造にすると、合致不安が減り、購入完了率が上がり、不一致返品が下がるはず。
  • 主指標(Primary):購入完了率(CVR)
  • 補助指標(Secondary):仕様/対応条件セクション閲覧率/Q&A閲覧率
  • ガードレール:不一致返品率/低評価レビュー率(誤認・品質系)
  • 比較方法(現実的な案)
    • SKUの一部だけ改善(テスト群)し、近いSKU(統制群)と比較
    • あるいは期間を区切った前後比較(ただしキャンペーン等の影響に注意)
  • 判定の考え方
    CVRだけでなく、不一致返品・低評価の改善が見えると「安心の設計」が当たりやすい。

7. よくある失敗(実験で起きがちなこと)

  • 一度に変えすぎる:何が効いたか分からなくなる(仮説は1本に)
  • 主指標が複数:判断がブレる(Primaryは1つ)
  • 短すぎる期間で判断:曜日・偶然のブレで誤判定しやすい
  • ガードレール不在:CVRは上がったが、返品・低評価が増えるなどの事故が起きる
  • 測れないまま実行:第8〜9回のKPIと接続できる形で設計する

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは ①〜③(担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。
※枠内は折り返し済みです(コピーボタンは使いません)。

① 文房具カフェ:準実験で「予定化→予約」を検証する設計を作る

あなたは社内マーケ講師です。
前提ターゲット:表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性。
前提:ファネルで「予定化→予約」が詰まっている。
次の施策を“実験”として設計してください:
「料金・所要時間・混雑目安・予約手順」を1ページに集約して導線を強化する。
出力要件:
- 仮説(If→Then)
- Primary KPI / Secondary KPI / Guardrail
- 比較方法(A/Bができない前提で、曜日差・天候差の影響を減らす工夫)
- 実験期間の考え方
- 成功/失敗の判定基準

② オンラインストア:A/Bテストで「買い逃し不安」を潰す実験設計

あなたは社内マーケ講師です。
前提ターゲット:買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視。
前提:AISASのSearch→Actionが詰まっている。
次の施策のA/Bテスト設計を作ってください:
「販売期間・締切・受注/在庫・発送目安・注意事項の要点」を商品ページ上部に前倒し表示する。
出力要件:
- 仮説(If→Then)
- Primary/Secondary/Guardrail
- 変更点(コピー案も3案)
- 想定される副作用(例:情報過多、離脱増)と対策

③ ユウセイ堂:SKU単位の準実験で「合致不安」を切り分ける

あなたは社内マーケ講師です。
前提ターゲット:モールで検索・比較して早く確実に買いたい/合致不安・届く不安をなくしたい。
前提:合致確認→購入が詰まっている。
次の施策を“SKU単位の準実験”として設計してください:
「合致確認チェックリスト(型番/仕様/サイズ/対応条件)」を商品ページ冒頭に追加する。
出力要件:
- 仮説(If→Then)
- Primary/Secondary/Guardrail(不一致返品・低評価を含む)
- テスト群/統制群の選び方(どんなSKUを選ぶべきか)
- 誤認防止のための表現上の注意点

④ 3チャネル横断:今月の“実験ポートフォリオ”を作る

文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)で、
それぞれ「工数が小さく、差が出やすい」実験を2つずつ提案してください。
各実験について
- 目的(どの詰まり段階か)
- 仮説
- Primary KPI
- ガードレール
- 期待できる学び(次に何が言えるようになるか)
を簡潔にまとめてください。

⑤ 理解チェック:実験設計のクイズ

今日のテーマ「検証と実験(A/Bテスト含む)」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. 「施策実行」と「実験」は何が違う?(一言で)
  2. Primary KPI/Secondary KPI/Guardrail を分ける理由は?
  3. 一度に変える要素を増やすと、なぜ学びが弱くなる?

10. 今日のまとめ(3行)

  • 実験は「何が効いたか」を切り分け、勝ち筋を再現可能にするための手段。
  • 仮説を1本にし、Primary/Secondary/Guardrailを置いて比較設計(A/B・前後・準実験)で検証する。
  • 御社は、店舗=予定化→予約の不安、自社EC=Search→Actionの不安、モール=合致不安+届く不安、のように“止まりどころ”が明確なため、小さな実験が回しやすい。

次回予告(第12回)

次回は LTV/CAC・粗利の考え方に進みます。
「売上が伸びた」だけでなく、利益と継続(リピート)の観点で改善の優先順位や投資判断ができるようにし、
特にコラボ商品の企画・在庫・販促判断に効く“見方”を整理します。

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