コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第24回カリキュラム(ver1.0)

7P:4Pに「People / Process / Physical Evidence」を足して、体験(サービス)と運用品質を“設計”できるようにする
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回は「4Pの復習」ではなく、サービス(体験)が価値の核になる領域で必須になる
7P(Product/Price/Place/Promotion + People/Process/Physical Evidence)を扱います。
店舗はもちろん、EC/モールでも「安心」「誤認防止」「届く品質」はサービス要素として効きます。
目的は、施策案を増やすことではなく、勝ち筋を再現可能な“設計項目”に落とすことです。

所要時間
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※成果物は重くしません。各チャネルで7Pを1枚(箇条書き)に落とし、
来週試す改善を1本の実験にできれば十分です。

0. まず第23回(アンゾフ)の要点を簡単に復習(3分)

第23回では、成長の“新しさ”がどこに入るか(市場×商品)で整理し、
4象限(浸透/商品開発/市場開拓/多角化)から今期の重点を1〜2象限に絞りました。

  • 浸透は確度が高い(運用改善・導線改善・CRMで積み上がる)
  • 多角化は不確実性が高い(やるなら小さく実験)
  • 選んだ象限は第15回の運用(KGI→ファネル→実験)へ接続する

ただし「どの象限を狙うか」が決まっても、現場では次が詰まりがちです。

  • 価値(USP/RTB)は言えるが、現場で再現できる設計項目に落ちていない
  • 改善が「表現」「導線」だけに偏り、運用(人・手順・品質)が置き去り
  • EC/モールの「安心」「誤認防止」が属人的で、品質がブレる

そこで第24回は、4Pにサービス設計の3要素を足した7Pで、
体験と運用品質を“設計できる状態”を作ります。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. 7P(4P+3P)の各要素を説明できる
  2. 3チャネルで、7Pを現状→改善方向の形で書ける
  3. 7Pの弱点(ボトルネック)から、来週の実験1本を作れる

この回のキーメッセージ

  • サービス領域では People/Process/Physical Evidence が勝敗を決めやすい
  • 「安心」は“言う”より証拠(Evidence)手順(Process)で作る
  • 7Pは標準化に強い(属人化を減らす)

この回の成果物(軽量)

  • チャネル別7P(各1行×7)
  • 最優先の弱点P(1つ)と理由
  • 改善案(If→Then)+ Primary/Secondary/Guardrail

2. 7Pとは何か:4Pに「サービス設計の3要素」を足したもの

7Pは、従来の4Pに、サービス提供で重要になる3要素を追加したフレームです。

P 意味(最小定義) 御社での例(イメージ)
Product 提供する価値(商品/体験/サービス) 店舗の“特別体験”、ECの“作品理解×安心”、モールの“合致確認×届く安心”
Price 価格と条件(送料/締切/返品等含む) ECの受注/発送条件、モールの手数料前提での貢献利益設計、店舗の料金・混雑条件
Place 提供の場・導線(どこで買う/予約するか) 予約導線、ECの購入導線、モール内の検索→商品ページ→購入
Promotion 伝え方・集客(SNS/検索/広告/PR) SNS投稿、Googleマップ、モール内のタイトル/画像/レビュー活用
People 人(接客/CS/梱包者含む)とスキル 店舗スタッフ対応、EC/モールのCS品質、検品者の判断基準
Process 提供手順(予約〜提供〜出荷〜対応) 予約→来店→体験、注文→検品→梱包→出荷→返品対応、誤認防止テンプレ運用
Physical Evidence 品質・安心の“証拠”(見える根拠) 店内の清潔感・掲示、ECの商品写真/要点/正規根拠、モールのレビュー・梱包/検品の可視化

2-1. 7Pを入れる理由:差別化が「運用の品質」に宿るから

第19回(5フォース)で見た通り、比較が強い土俵ほど値下げ以外で勝つには
「安心」「合致」「届く品質」などの運用品質が重要になります。
その運用品質は、7PのPeople/Process/Physical Evidenceで設計できます。


3. どの順序で使うか:7P → ボトルネックP → 実験へ

おすすめは次の 6ステップです(軽量版)。

Step 1:対象(チャネル)とKGI(利益)を固定

  • 店舗=粗利(売上×粗利率)
  • 自社EC=総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)
  • モール=総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

Step 2:7Pを「現状→課題→改善方向」で埋める

  • 各Pは1行で十分(増やさない)
  • 曖昧語(ブランド力等)ではなく、行動に落ちる表現にする

Step 3:ボトルネックPを1つ選ぶ

  • 例:ECなら「Process(出荷/条件表示の手順)」「Evidence(正規根拠/要点)」が詰まりやすい
  • 例:店舗なら「Process(予約〜受付)」「People(接客の一貫性)」が詰まりやすい

Step 4:ファネル(第9回)で“どこが落ちているか”と接続

  • 上流の問題なのか、中流(理解/比較)なのか、下流(不安/条件/導線)なのか

Step 5:改善案をIf→Thenで1本にする(第11回)

  • もし(Process/Evidence/Peopleの変更)をすると、(不安/摩擦)が減り、(KPI)が改善する

Step 6:Primary/Secondary/Guardrailを置いて検証

  • 特に7PはGuardrail(返品・低評価・キャンセル等)と相性が良い

4. 典型パターン:7Pで改善が起きやすい“3つの当たり”

パターンA:CVRが伸びない → Evidence(要点・根拠)の不足

  • 症状:見られているのに買われない(Search→Actionで止まる)
  • 処方:要点サマリ/合致チェック/レビュー配置など「安心の証拠」を上に

パターンB:返品・低評価が出る → Process(手順)の不安定

  • 症状:売れるが事故る(不一致返品、配送/梱包低評価、キャンセル増)
  • 処方:検品基準、梱包手順、非対応の明確化、テンプレ標準化

パターンC:体験の満足がブレる → People(人)×Process(手順)の一貫性不足

  • 症状:接客・案内が人によって違う、ピーク時に品質が落ちる
  • 処方:役割分担、チェックリスト、ピーク時の導線設計(ブループリントの前段)

5. 御社の例:3チャネルの7P(仮説)

ここは理解用の仮説例です。実務では各Pを「現状→改善方向」1行で埋め、ボトルネックPを1つ決めれば十分です。

5-A. 文房具カフェ(実店舗)7P(例)

  • Product:休日の“おしゃれで特別”な文具体験(体験の想像がしやすい形に言語化)
  • Price:料金体系・滞在目安・追加費用の不安をゼロに(表示の一枚化)
  • Place:Instagram/マップ→予約→来店までの導線短縮(次の一手を1クリックに)
  • Promotion:企画更新+休日の過ごし方提案(想起と予定化を作る投稿)
  • People:初動の安心(受付/案内)の標準化、ピーク時の役割分担
  • Process:予約前案内→受付→体験→退店→次回導線の手順整備(混雑時も崩れない)
  • Physical Evidence:店内の清潔感・掲示・写真スポット、混雑/予約の見える化が“安心の証拠”

ボトルネック候補:Process(予約前案内〜受付)(不安・摩擦が予定化→予約を止めやすい)


5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)7P(例)

  • Product:作品理解・作品愛が“デザインに出ている”正規コラボ
  • Price:総額(送料/手数料)と条件(締切/発送/返品)を誤解なく
  • Place:SNS→商品ページ上部要点→カート→購入(摩擦最小)
  • Promotion:背景連載(理解)+締切/発送の明確化(買い逃し不安を潰す)
  • People:CSが“安心の最後の砦”(テンプレ応答、FAQ整備で負荷も下げる)
  • Process:受注/在庫→出荷→通知→問い合わせ対応の手順標準化(キャンセル・誤解を減らす)
  • Physical Evidence:正規根拠、要点サマリ、写真/ディテール、レビューが“納得の証拠”

ボトルネック候補:Physical Evidence(要点/正規根拠)(損失回避の不安を先に潰せていない)


5-C. ユウセイ堂(モール型)7P(例)

  • Product:合致確認ができ、期待通り届く“安心な買い物”
  • Price:価格だけでなく「安心」を含めた納得(返品・低評価を避けて利益を守る)
  • Place:検索→商品ページ→購入の最短導線(合致情報へ即到達)
  • Promotion:モール内はタイトル/画像/レビューが実質プロモ(CTR/CVRに直結)
  • People:検品・梱包・CSの品質(期待を裏切らない)
  • Process:SKU運用(情報テンプレ)→検品→梱包→出荷→返品対応の標準化
  • Physical Evidence:合致チェックリスト、非対応の明確化、梱包/検品の可視化、レビュー

ボトルネック候補:Process(SKU情報テンプレ運用)(ばらつきが誤認→不一致返品を生む)


6. ミニ演習(5分):担当チャネルの7Pを1枚にする

ミニ演習(記入用テンプレ)

【担当チャネル】____(店舗/自社EC/モール)

7P(各1行でOK):
- Product:____
- Price:____
- Place:____
- Promotion:____
- People:____
- Process:____
- Physical Evidence:____

ボトルネックP(1つ):____
理由(ファネルのどこで止まる?不安/迷い/摩擦?):____

来週の改善(If→Then):
もし____(変更)をすると、____(不安/摩擦)が減り、____(KPI)が改善するはず。

実験設計:
- Primary:____
- Secondary:____
- Guardrail:____

コツ:7Pは全部を完璧に埋めるより、ボトルネックPを1つ決める方が運用に効きます。


7. よくある失敗(7Pを“使える形”にするための注意点)

  • 4Pだけで終わる → サービス領域は3P(People/Process/Evidence)が勝敗を決めやすい
  • 抽象語で埋める → 「安心」「品質」ではなく、何をどうするか(チェックリスト・テンプレ・掲示)まで
  • 改善がPromotion偏重 → 流入だけ増やしても、Process/Evidenceが弱いと返品・低評価で損する
  • Evidenceが“下の方”にある → 不安の核心は上に(第14回:損失回避×フレーミング)
  • 運用に落ちない → 第15回の型(KGI→ファネル→実験)に必ず接続する

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは①〜③(担当チャネルのもの1つ)だけで十分です。④は横断、⑤は理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):7Pを作り、予約前不安(Process/Evidence)を改善する実験案

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)のターゲットは、表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性です。
この前提で、店舗の7Pを各1行で作ってください(現状→改善方向が分かる形)。
次に、最もボトルネックになりやすいPを1つ選び、理由を説明してください。
最後に、そのPを改善する実験案を1つ、If→Then+Primary/Secondary/Guardrailで提案してください。

② 自社EC:Physical Evidence(要点・正規根拠・レビュー)中心で7Pを再設計

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)のターゲットは
買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視です。
この前提で7Pを各1行で整理し、特にPhysical Evidenceの項目を具体化してください
(要点サマリの見出し案、正規根拠の書き方、レビューの置き場所)。
最後に、Search→Action詰まりを改善する実験案を1つ提示してください。

③ ユウセイ堂(モール):Process(SKUテンプレ運用)を設計し、誤認防止を強化

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)のターゲットは
検索・比較して早く確実に買いたい+合致不安・届く不安なく満足して買いたい、です。
モール運用の7Pを各1行で作り、特にProcessとPhysical Evidenceを具体化してください
(合致チェックリスト、非対応の明確化、検品・梱包の可視化など)。
最後に、Guardrail(不一致返品率・低評価率)つきで実験案を1つ提案してください。

④ 3チャネル横断:7Pで共通の“標準化テーマ”を1つ選ぶ

店舗(文房具カフェ)/自社EC(文房具カフェオンラインストア)/モール(ユウセイ堂)の7Pを前提に、
3チャネル共通で標準化すると効果が大きいテーマを1つ選び、
People/Process/Physical Evidenceの観点で「何を標準化するか」を箇条書きで提案してください。
最後に、その標準化がKGI(粗利/貢献利益)にどう効くかを一言で説明してください。

⑤ 理解チェック:7Pクイズ

今日のテーマ「7P」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. 7Pは4Pに何を足したもの?(3つ挙げる)
  2. EC/モールで「安心」を作るとき、7PのどのPが特に効きやすい?(2つ)
  3. 7Pで見つけた改善点を、なぜ実験(Primary/Secondary/Guardrail)に落とす必要がある?

10. 今日のまとめ(3行)

  • 7Pは、4Pに People / Process / Physical Evidence を足し、体験と運用品質を設計するモデル。
  • 特に「安心」は、表現だけでなく手順(Process)証拠(Evidence)で作ると再現性が上がる。
  • ボトルネックPを1つ選び、KGI→ファネル→実験に落として第15回の週次運用で回す。

次回予告(第25回)

次回は PESO(ver1.0) を扱います。
Paid / Earned / Shared / Owned を「媒体の役割分担」として整理し、
SNS・検索・モール・自社サイト・Googleマップなどの接点を、上流〜下流で詰まらない導線に組み直します。

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