コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第25回カリキュラム(ver1.0)

PESO:Paid / Earned / Shared / Owned を「役割分担」で設計し、3チャネルの集客〜購買導線を“媒体設計”として整える
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回は「SNS投稿を頑張る」ではなく、PESO(媒体ミックス)を使って
“どの媒体が何の役割を担うか”を決め、導線を安定化させる回です。
第15回の運用(KGI→ファネル→CJM→実験)に繋げるため、PESOの結論は
各チャネルの上流/中流/下流で「詰まらない設計」に落とします。

所要時間
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※成果物は重くしません。各チャネルで「PESOの役割分担」を1枚にし、
来週の実験を1本作れれば十分です。

0. まず第24回(7P)の要点を簡単に復習(3分)

第24回では、4Pに People / Process / Physical Evidence を加えた7Pで、
体験と運用品質(安心・誤認防止・届く品質)を再現可能な設計項目に落としました。

  • サービス領域では、差別化が Process / Evidence に宿りやすい
  • ボトルネックPを1つ選び、If→Thenで実験に落とす
  • Guardrail(返品/低評価/キャンセル)を置くと事故が減る

ただし、7Pで中身(価値・品質)を整えても、現場では次が起きがちです。

  • 媒体ごとに言っていることが違い、安心が分散する
  • SNSは伸びたが、予約/購入までの橋渡し役が弱く、件数に繋がらない
  • 広告(Paid)を打っても、Owned(受け皿)が弱くてCVRが上がらない

そこで第25回は、媒体を役割分担として整理するPESOで、
「どこで認知し、どこで不安を潰し、どこで買う/予約するか」を揃えます。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. PESO(P/E/S/O)の違いを説明できる
  2. 3チャネルで、媒体を上流/中流/下流の役割に割り当てられる
  3. 媒体設計を実験1本に落として、勝ち筋を再現可能にできる

この回のキーメッセージ

  • 媒体は「全部やる」ではなく役割分担が先
  • Shared→Owned(送客)と、Owned上のEvidence/Processが勝敗
  • Paidは増幅装置。受け皿(Owned)が弱いと損する

この回の成果物(軽量)

  • チャネル別PESO(各1〜2行)
  • 「媒体→次の一手」導線(1本)
  • 実験案(Primary/Secondary/Guardrail)

2. PESOとは何か:媒体を「種類」ではなく「役割」で整理する

PESOは、コミュニケーション/集客の媒体を4つに分けるフレームです。
重要なのは「分類」ではなく、各媒体が担う役割を固定することです。

分類 定義(最小) 強み(役割) 弱み(注意)
P:Paid 広告で買う露出 上流の量を安定させる/検証が速い 受け皿(Owned)が弱いと費用対効果が崩れる
E:Earned 第三者の露出(PR/記事/紹介/口コミ) 信頼(社会的証明)が強い/長期で効く コントロールが難しい/準備が必要
S:Shared SNS・コミュニティで共有される露出 想起・共感・拡散/コンテンツ資産化 流入が変動しやすい/送客設計がないと件数にならない
O:Owned 自社で持つ受け皿(サイト/LP/メルマガ/店頭/商品ページ) 不安を潰す(RTB/Evidence)/CVRを作る/データが残る 作り込み不足だと全媒体の成果が頭打ち

2-1. このカリキュラムでの結論:PESOは“導線設計”のために使う

第9回のファネルに合わせて言い換えると、PESOはこう使うと現場で回ります。

  • 上流(見られる):Paid / Shared / Earned
  • 中流(理解・比較):Owned(要点・根拠・比較・FAQ)+ Earned(レビュー・第三者)
  • 下流(不安・条件・導線):Owned(条件明確・導線短縮・決済/予約)

※特に御社は「安心(RTB/Evidence)」が勝ち筋なので、Ownedを“受け皿”として強く設計するほど、他媒体が効きやすくなります。


3. どの順序で設計するか:PESO → 送客導線 → 実験

おすすめは次の 6ステップです(軽量版)。

Step 1:対象チャネルとKGI(利益)を固定(第12回)

  • 店舗:粗利(売上×粗利率)
  • 自社EC:総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)
  • モール:総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

Step 2:ファネルで「どこが落ちているか」を仮置き(第9回)

  • 上流不足:露出/送客が弱い
  • 中流不足:比較・理解で止まる(要点/根拠が弱い)
  • 下流不足:不安・条件・導線で止まる

Step 3:PESOを「役割分担」で書く(媒体の仕事を固定)

  • Shared:何を思い出させる?(想起)
  • Owned:どの不安を潰す?(要点・根拠・条件)
  • Earned:どの安心を補強する?(レビュー・第三者)
  • Paid:どこを増幅する?(上流の量 or 下流のCV)

Step 4:「Shared/Earned → Owned → 行動」の導線を1本にする

  • リンク先は“なんとなくトップ”ではなく、詰まり段階を解消するOwnedに合わせる
  • 例:買い逃し不安が強いなら「要点サマリが最上部にある商品/特集ページ」へ

Step 5:実験に落とす(第11回)

  • Primary:予約完了率/CVR/注文件数 など
  • Secondary:CTR/要点閲覧率/カート投入率 など
  • Guardrail:返品・低評価・キャンセル・問い合わせ増 など

Step 6:週次運用へ(第15回)

  • PESOの変更は「媒体の変更」ではなく、上流/中流/下流のどこを直したかとして記録する
  • 学びログに「転用先」を書く(店舗で効いた想起投稿→ECの発売前想起へ、など)

4. 典型パターン:PESOで起きがちな失敗 → 処方

パターンA:Sharedだけ強いが、件数が伸びない

  • 症状:SNSの反応(ER)はあるが、CTR/CVRが弱い
  • 原因:送客先(Owned)が詰まり段階に合っていない/要点が下にある
  • 処方:Shared→Ownedのリンク先を「要点・根拠・条件が上にあるページ」に固定

パターンB:Paidを増やしたのにCPAが悪化

  • 症状:セッションは増えたがCVRが上がらない、利益が残らない
  • 原因:OwnedのEvidence/Process不足(不安・摩擦が残る)
  • 処方:Paidで増やす前に、Ownedの「要点・導線・条件」を整える(第24回の7P接続)

パターンC:Earned(口コミ/レビュー)が活きない

  • 症状:レビュー数はあるが、購入直前の安心に効かない
  • 原因:表示位置が遅い/内容が判断に必要な粒度ではない
  • 処方:レビューを「迷いが出る直前」に置く+レビュー収集をProcessとして設計

5. 御社の例:3チャネルのPESO(仮説)

ここは理解用の仮説例です。実務では各媒体の役割を1〜2行で固定し、「送客先(Owned)」を詰まり段階に合わせて決めます。

5-A. 文房具カフェ(実店舗)PESO(例)

  • Shared:体験の想像(休日の過ごし方)+次回企画の想起(保存される投稿)
  • Owned:予約前不安を一枚で解消(料金/所要時間/混雑/予約手順)+予約導線
  • Earned:Googleマップ口コミ・来店投稿(第三者の安心)
  • Paid:イベント/企画の認知を短期で増幅(ただし送客先は“予約前不安が消えるOwned”固定)

「送客先(Owned)」の基本方針:予約前不安を最短で潰すページへ集約(予定化→予約の摩擦を落とす)


5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)PESO(例)

  • Shared:制作背景/見どころ連載で想起を作る+締切前のリマインド(煽りではなく事実条件)
  • Owned:商品ページ上部に「要点(締切/発送/正規/注意)」+FAQ+購入導線(Search→Actionの詰まり解消)
  • Earned:購入レビュー・紹介投稿(社会的証明)を迷いの直前に配置
  • Paid:売れ筋/高貢献利益SKUに限定して増幅(貢献利益を守る運用)

「送客先(Owned)」の基本方針:SNS→要点が最上部にあるページへ(買い逃し不安・条件不安を先に潰す)


5-C. ユウセイ堂(モール型)PESO(例)

  • Shared:原則は弱め(モール外SNSで想起を作るなら「合致チェックの見せ方」に寄せる)
  • Owned:モールの商品ページ自体がOwned(合致チェックリスト+非対応明確化+届く安心の証拠)
  • Earned:レビュー/Q&Aが“安心の根拠”の中核(配置と取得をProcess化)
  • Paid:モール内広告/露出施策は「Guardrailが守れるSKU」だけに(不一致返品が増えると逆効果)

「送客先(Owned)」=商品ページ上部で合致確認が完了する構造(買い手の交渉力が強い土俵で“安心差”を作る)


6. ミニ演習(5分):担当チャネルのPESOを「役割分担+送客先」で1本にする

ミニ演習(記入用テンプレ)

【担当チャネル】____(店舗/自社EC/モール)
【想定する詰まり段階(第9回)】上流/中流/下流 のどれ?:____

PESO(役割分担:各1行)
- Paid:____
- Earned:____
- Shared:____
- Owned:____(※不安を潰す要点・導線を含める)

「送客導線(1本)」:
(Shared or Paid or Earned)→(Ownedのどのページ/どの要点)→(次の行動:予約/購入)

実験案(If→Then)
もし____(送客先/導線/クリエイティブ)を変更すると、____が改善し、KGIに効くはず。

指標
- Primary:____
- Secondary:____
- Guardrail:____

コツ:PESOは「媒体を増やす」ほど逆効果になりがちです。まずは送客先(Owned)を1つに固定すると運用が回ります。


7. よくある失敗(PESOを“運用で効く形”にするための注意点)

  • 媒体の一覧で終わる → 必ず「役割」と「次の一手」まで書く
  • Ownedを軽視する → Ownedが弱いとPaid/Shared/Earnedの成果が件数に繋がらない
  • 送客先がバラバラ → まず1本に固定し、勝ち筋ができてから増やす
  • 指標がSNS指標だけ → CTR/CVR/予約完了率など、下流まで接続する
  • Guardrail不在 → モール/ECは返品・低評価が長期で不利を増幅する

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは①〜③(担当チャネルのもの1つ)だけで十分です。④は横断、⑤は理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):PESOで「SNS→予約」を一本化し、予約完了を増やす

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)のターゲットは、表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性です。
この前提でPESOを役割分担として整理し、特にShared(Instagram)→Owned(予約前不安を潰すページ)→予約までの導線を1本にしてください。
最後に、その導線改善を実験に落とし、Primary/Secondary/Guardrailを提案してください。

② 自社EC:PESOを「買い逃し不安・正規性不安・流入変動」に接続して再設計

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)のターゲットは
買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視です。
PESOを整理し、各媒体が「何の不安を潰す役か」「どの段階(上流/中流/下流)を担うか」を明記してください。
最後に、Shared→Ownedの送客先を2パターン作り、どちらを先に試すべきか(理由つき)提案してください。

③ ユウセイ堂(モール):Owned=商品ページとして、Earned(レビュー/Q&A)を活かす配置を設計

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)のターゲットは
検索・比較して早く確実に買いたい+合致不安・届く不安なく満足して買いたい、です。
モールのPESOを役割分担で整理し、Owned(商品ページ)における
「合致チェック」「非対応の明確化」「届く安心」「レビュー/Q&A」の最適な配置順を提案してください。
最後に、Guardrail(不一致返品率・低評価率)つきで改善実験案を1つ出してください。

④ 3チャネル横断:PESOを一枚にまとめ、共通の重点テーマを1つ決める

店舗(文房具カフェ)/自社EC(文房具カフェオンラインストア)/モール(ユウセイ堂)のPESOを前提に、
3チャネル共通の重点テーマを1つ提案してください(例:安心の標準化、要点サマリの統一、送客先の固定など)。
そのテーマがKGI(粗利/貢献利益)にどう効くかを一言で説明し、
来週試せる実験案(Primary/Secondary/Guardrail)も1本出してください。

⑤ 理解チェック:PESOクイズ

今日のテーマ「PESO」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. PESOの4要素を列挙し、それぞれの役割を一言で言える?
  2. Paidを増やす前にOwnedを整えるべき理由は?(1つ)
  3. Shared(SNS)の成果を「件数」に繋げるために最重要なのは何?(ヒント:送客先)

10. 今日のまとめ(3行)

  • PESOは媒体の分類ではなく、役割分担で導線を設計するためのモデル。
  • 特に御社は、Shared/Earnedで想起と信頼を作り、Ownedで要点・根拠・条件・導線を整えて件数に繋げるのが基本。
  • 結論は「送客導線1本」+「実験1本」に落とし、KGI→ファネル→実験の週次運用で回す。

次回予告(第26回)

次回は RACE(ver1.0) を扱います。
Reach / Act / Convert / Engage の4段階でデジタル導線を整理し、
PESOで決めた媒体の役割を「段階×KPI」で運用できる形に落とします(第9回ファネルとも接続)。

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