コース内容
Marketing Basic Lecture
0/30
東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第30回カリキュラム(ver1.0)

ABC分析:利益を作る商品・企画・SKUを「Aに集中」できる形にし、工数と投資の優先順位を決める
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回は「分類して終わり」ではなく、週次運用(第15回)で実際に回るように、
どのSKU/企画に工数を集中し、どこは最小運用にするかを決める回です。
指標は売上ではなく、原則粗利/貢献利益(第12回)に寄せます。

所要時間目安
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※数値はダミーでOK。まずは「どう切ると運用が楽になるか」を掴むことが目的です。

0. まず第29回(Kanoモデル)の要点を簡単に復習(3分)

第29回では、改善テーマをKano(当たり前/一元/魅力)で分類し、
事故を止める→伸ばす→差別化の順で優先順位をブレなくする考え方を整理しました。

  • 当たり前:欠けると致命傷(返品・低評価・キャンセル)→ Guardrail主役
  • 一元:改善すると素直に効く(CVR・予約率)→ Primary主役
  • 魅力:差別化・想起・共有 → 当たり前の上に乗せる

ただし、Kanoで「何を直すか」の優先は見えても、実務では次が詰まりがちです。

  • SKU/企画が多く、全部に手を入れようとして運用が止まる
  • “重要な商品”が人によって違い、工数配分の合意が取れない
  • 売上で選ぶと、実は利益が薄いものに工数を使い、KGI(利益)が伸びない

そこで第30回は、商品・企画・SKUを利益貢献で並べるABC分析を導入し、
「Aに集中」「Bは改善の対象」「Cは最小運用(または撤退検討)」を決められる状態を作ります。

1. 今日のゴール

  1. ABC分析が何のためか説明できる
  2. 粗利/貢献利益でA/B/Cを切れる
  3. Aに集中する運用ルールを作れる

この回のキーメッセージ

  • 売上ではなく利益で並べる
  • Aが利益の大半を作る前提で工数配分
  • 改善はA→B、Cは最小運用

成果物(軽量)

  • チャネル別ABC(仮でOK)
  • A向けの改善テーマ(1〜2本)
  • A向け実験(Primary/Secondary/Guardrail)

2. ABC分析とは何か:利益貢献の大きい順に並べ、「集中すべきA」を決める

ABC分析は、商品・企画・SKUを貢献度の大きい順に並べ、累積比率でA/B/Cに分類する手法です。
実務で重要なのは、次の目的です。

限られた工数・予算・改善枠を、最もKGI(利益)に効く対象へ集中させる

2-1. 何で並べるべきか(売上ではなく利益)

  • 推奨:粗利/貢献利益(第12回)
  • 理由:売上が大きくても、手数料・送料負担・原価で利益が残らないことがある

2-2. A/B/Cの目安(絶対ではない)

会社やカテゴリで変わるので、ここは「運用しやすさ」を優先して仮置きでOKです。

分類 累積比率(目安) 運用の基本方針
A 上位〜70%程度 集中投資(改善・実験・表現更新・在庫/品質の最優先)
B 次の〜90%程度 改善候補(Aで勝ち筋確定→横展開。勝てるならA化を狙う)
C 残り〜100% 最小運用(当たり前品質だけ担保。撤退/統合/テンプレ運用検討)

2-3. Kanoとのつながり(第29回)

  • A×当たり前:最優先(事故がKGIに直撃)
  • A×一元:次点(伸びがKGIに直撃)
  • B×一元:Aで当たり→Bへ横展開(第15回の学びログ)
  • C:魅力より、当たり前(誤認/条件/品質)だけ守る

3. どの順序でやるか:ABC → 集中対象 → 優先順位 → 実験(第10・11・15回へ接続)

おすすめは次の7ステップ(軽量版)です。

Step 1:対象単位を決める(チャネルごとに)

  • 店舗:メニュー/企画(イベント)/時間帯(混雑枠)など
  • 自社EC:SKU(商品)/コラボ企画単位
  • モール:SKU(商品)/カテゴリ/型番グループ

Step 2:並べる指標を決める(推奨:貢献利益)

  • 自社EC/モール:貢献利益=売上−原価−変動費(手数料/送料負担/梱包等)
  • 店舗:粗利(または貢献利益に近い“1来店あたり利益”)

Step 3:並べ替え(降順)→累積比率→A/B/C

厳密な閾値より「運用が回る切り方」を優先してOK。

Step 4:Aだけ別扱いの運用ルールを作る(ここが実務の本番)

  • Aは「更新頻度」「品質チェック」「情報設計」「在庫/納期の透明性」を最優先
  • Aで起きた学びは、Bへ横展開(第15回の学びログ)

Step 5:Aの中で「止まりどころ」をファネルで特定(第9回)

  • 上流(見られていない)/中流(比較・理解)/下流(不安・条件・導線)

Step 6:改善案をImpact×Confidence×Effortで上位1〜2本(第10回)

Step 7:実験で確定(Primary/Secondary/Guardrail)(第11回)

  • Primary:AのKGIに直結するもの(CVR/予約率/注文件数など)
  • Guardrail:返品/低評価/キャンセル/CS負荷(Aほど必須)


4. 典型パターン:ABCで“運用が止まる原因”を潰す

パターンA:全部大事に見える(工数が足りない)

  • 症状:改善が分散し、どれも中途半端
  • 処方:利益で並べ、Aに集中(Cはテンプレ運用)

パターンB:売上上位に工数を集中したら、利益が伸びない

  • 原因:利益が薄い(手数料/送料負担/原価)
  • 処方:並べる指標を貢献利益に変更(第12回)

パターンC:Cを放置してレビュー事故が増え、全体が落ちる

  • 原因:Cでも当たり前品質(誤認防止・条件・出荷品質)は必要
  • 処方:Cは「改善しない」ではなく「最小限の当たり前だけ守る」

5. 御社の例:3チャネルでABCを“運用ルール”にする(仮説例)

※具体SKUが未提示なので、ここは“分類の切り口”の例です。実務は数値を入れて置換してください。

5-A. 文房具カフェ(実店舗)

  • 対象単位(例):企画イベント/人気メニュー/時間帯(休日ピーク枠)
  • 並べる指標(例):粗利(売上×粗利率)または「時間帯粗利」
  • Aの扱い
    • 予約導線・混雑案内(当たり前)を常に最新にする
    • SNS・Googleマップの情報をA企画優先で整備(上流〜中流)
  • Cの扱い:告知テンプレで最小運用(情報の欠落だけ防ぐ)

5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)

  • 対象単位:SKU(商品)/コラボ企画
  • 並べる指標:SKU別の総貢献利益(期間)
  • Aの扱い
    • 商品ページ上部の要点(締切/発送/正規性/注意)を最優先で整備(当たり前)
    • AはA/Bテストの優先対象(CVRのインパクトが大きい)
    • 購入後体験(同梱/メール)もAから改善(レビュー/想起→次回)
  • Bの扱い:Aで勝った情報設計テンプレを横展開
  • Cの扱い:説明テンプレ+在庫/条件の誤解防止だけ守る(過剰改善しない)

5-C. ユウセイ堂(モール型)

  • 対象単位:SKU(型番/カテゴリ単位でも可)
  • 並べる指標:SKU別総貢献利益(モール手数料・出荷費込み)
  • Aの扱い
    • 合致確認テンプレ(冒頭チェックリスト+非対応明記)を最優先で整備
    • Guardrail(不一致返品/低評価)を必ず監視(Aほど事故が痛い)
    • タイトル/画像のCTR改善はAから(露出→クリックのインパクトが大)
  • Cの扱い:テンプレ運用で“誤認だけ防ぐ”。売れないSKUを増やしすぎない

6. ミニ演習(5分):ABCの仮ルールを作る(数値なし版)

担当チャネルを1つ選び、まずは「仮の分類基準」を決めます。

ミニ演習テンプレ(仮ルール)

【担当チャネル】____(店舗/自社EC/モール)
【対象単位】____(例:SKU/企画/時間帯)
【並べる指標】____(推奨:貢献利益 or 粗利)

A(集中対象)の定義(例:上位○商品、または総利益の70%まで):____
B(育成対象)の定義:____
C(最小運用)の定義:____

Aにだけ適用する運用ルール(3つ):
- 1) ____
- 2) ____
- 3) ____

今週やる改善(A向けに1本):
- 仮説(If→Then):____
- Primary / Secondary / Guardrail:____ / ____ / ____

コツ:最初は「A=上位5〜10件」など、運用で扱える数に寄せると回り始めます。


7. よくある失敗(ABCを“回る運用”にするための注意点)

  • 売上で並べる:利益が残らないAができる → 貢献利益に寄せる
  • 分類しただけで終わる:Aの運用ルール(更新頻度・品質・実験優先)まで決める
  • Cを放置して事故る:Cは改善しないが、当たり前品質(誤認防止・条件・出荷)は守る
  • 期間の取り方がバラバラ:まずは「直近4週/8週」など共通で揃える
  • チャネルを混ぜて比較:店舗/自社EC/モールは土俵が違うので、まずは別々にABC

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:①〜③は担当チャネル1つでOK。④は横断、⑤は理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):企画/時間帯をABCで切り、Aに集中する運用を作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)について、ABC分析を「粗利」で行いたいです。
対象単位を「企画イベント(または時間帯)」と仮定し、
A/B/Cの切り方(累積比率の目安でも、上位件数でも可)を提案してください。
次に、Aに集中するための運用ルールを5つ作り、
Aの「予定化→予約」を改善する実験案を1つ、Primary/Secondary/Guardrail付きで提案してください。

② 自社EC:SKU別の貢献利益でABC→A商品のCVR改善を最優先にする

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)で、SKU別の総貢献利益でABC分析をしたいです。
まず、貢献利益ベースでABC分類する手順(必要な項目)を整理してください。
次に「A商品のSearch→Action改善」を最優先にする運用ルールを5つ作ってください。
最後に、A商品で実施するA/Bテスト案を1本(要点サマリ前倒し等)、
Primary/Secondary/Guardrail付きで提案してください。

③ ユウセイ堂(モール):A SKUを“事故らせない”ための標準テンプレ運用を設計

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)で、SKU別総貢献利益でABC分析を行う前提です。
A SKUに集中する運用として、
- 商品ページ情報(合致チェック/非対応/届く安心)
- タイトル/画像(CTR)
- Guardrail(不一致返品/低評価)
を中心に、運用ルールを7つ提案してください。
さらに、A SKU向けの改善実験案を1つ、Primary/Secondary/Guardrail付きで提案してください。

④ 3チャネル横断:ABC×Kanoで「何を直すか」を統一する

店舗/自社EC/モールのABC運用を統一したいです。
「A×当たり前」「A×一元」「B×一元」「C」の4パターンに対して、
それぞれ
- 目的
- 典型施策
- Primary/Guardrail
- よくある失敗
を箇条書きで整理してください。

⑤ 理解チェック:ABC分析クイズ

今日のテーマ「ABC分析」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. ABC分析の目的は何?(一言で)
  2. 売上ではなく貢献利益でABCを作るべき理由を1つ挙げると?
  3. C分類の商品/企画に対して、実務で取るべき基本方針は?(放置ではなく何を守る?)

10. 今日のまとめ(3行)

  • ABC分析は、商品・企画・SKUを利益貢献の大きい順に並べ、Aに集中するための運用モデル。
  • 並べる指標は売上ではなく、原則粗利/貢献利益(第12回)に寄せるとKGIに直結する。
  • Aに集中→ファネルで詰まり特定(第9回)→優先順位(第10回)→実験(第11回)で勝ち筋を確定し、学びをBへ横展開(第15回)。

次回予告(第31回)

次回は FAB(説明の型:Feature→Advantage→Benefit) を扱います。
3チャネルで訴求がブレないように「特徴→利点→お客様の嬉しさ」を統一し、
USP/RTB(第4〜8回)と情報設計(第14回)を文章レベルで再現可能にします。

上部へスクロール