コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第12回カリキュラム(ver2.0)

粗利/貢献利益の実務計算:SNS・EC転換率・店舗の客単価/回転の基本指標から、KGI(利益)を“計算で”達成する道筋を作る
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂の例)

第12回は、改善施策を「売上」ではなく粗利/貢献利益で判断できるようにし、
SNS・CVR・客単価/回転などの基本指標から、KGI(利益)を“計算式”で分解して到達方法を作ります。

所要時間
30〜45分(読む15〜20分+計算演習10〜15分+ChatGPTで確認5〜10分)

※今回は「理解→小さく計算→KGIにつなぐ」が目的です。数字はダミーで練習し、後で自社数字に置き換えます。

0. まず第11回(検証と実験)の要点を簡単に復習(3分)

第11回では、改善施策を実験として設計し、何が効いたかを切り分ける型を学びました。

  • 仮説を1本(If→Then)にする
  • Primary / Secondary / Guardrail を置く
  • A/B・前後比較・準実験で「比較」する

ただし、実験でCVRなどのKPIが改善しても、利益が増えているとは限りません
そこで第12回は、施策を「売上」ではなく、粗利/貢献利益で判断できるようにし、KGI(利益)につなげます。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. 売上・粗利・貢献利益の違いを説明できる
  2. チャネル別(店舗/自社EC/モール)に、1回(1注文/1来店)あたりの貢献利益を計算できる
  3. SNS・EC転換率・店舗の客単価/回転などの基本指標から、
    KGI(利益)を“分解式”で表現できる

この回のキーメッセージ

  • 売上=良いではない(利益が残るかが重要)
  • 粗利だけだとブレる → 貢献利益(1件あたり)で見る
  • KGI(利益)=件数 × 1件あたり利益
  • 基本指標(SNS/EC/店舗)を計算でKGIにつなぐ

今日のアウトプット(軽量版)

  • 売上/粗利/貢献利益の整理
  • 自分の担当チャネルの「1件あたり貢献利益」計算テンプレ
  • KGI(利益)を分解式で書いた“式ツリー”
  • ダミー数値で計算演習(後で自社数字に置換)

2. まずここを整理:売上・粗利・貢献利益(実務で必要な最小セット)

2-1. 売上(Sales)

  • 売上=お客様からいただいた金額の合計
  • ただし「売上が増えた=良い施策」とは限りません(利益が残らない場合がある)

2-2. 粗利(売上総利益)

  • 粗利売上 − 売上原価
  • 粗利率=粗利 ÷ 売上

ポイント

まず粗利が分かると、「値引きすると何が起きるか」「原価が高いと何が起きるか」が判断しやすくなります。

2-3. 貢献利益(“1件あたりで実際に残る利益”として使う)

ECやモールでは、注文が増えるほど増えるコスト(変動費)が多いため、粗利だけだと判断がブレます。
そこでこのカリキュラムでは、実務判断のために次を扱います。

  • 貢献利益(例)=粗利 −(注文ごとの変動費
    • 例:決済手数料、送料負担、梱包資材、モール手数料、出荷作業費(外注費)など

呼び方について

呼び方は社内で「実質粗利」「注文あたり利益」でも構いません。
重要なのは、1注文(または1来店)あたりで、どれだけ残るかを見える化することです。


3. 基本指標(SNS・EC・店舗):KGIに効く“レバー”を理解する

ここから「KGI(利益)を作る材料」になる基本指標を整理します。

3-1. SNSの基本:インプレッション/エンゲージメント/CTR

  • インプレッション(Impressions):表示された回数
  • リーチ(Reach):見た人数(同じ人に複数表示されても1人)
  • エンゲージメント(Engagements):反応(いいね、保存、コメント、シェア等)
  • エンゲージメント率(ER):Engagements ÷ Impressions
  • リンククリック数:サイトへ遷移した回数
  • CTR(クリック率):リンククリック数 ÷ Impressions

使い分け(実務的な見方)

  • 「興味が出ているか」を見る → ER(作品理解・作品愛が伝わっているかの兆し)
  • 「サイトへ送れているか」を見る → CTR(EC/予約導線につなぐなら重要)

3-2. オンライン(EC/モール)の基本:転換率(CVR)と周辺指標

  • セッション(Sessions):サイト訪問数(商品ページ閲覧の母数)
  • CVR(転換率):購入件数 ÷ セッション
  • カート投入率:カート投入数 ÷ セッション
  • 購入完了率:購入完了数 ÷(カート投入数 など)
  • 客単価(AOV):売上 ÷ 注文件数

ポイント

CVRは結果。改善の原因を掴むには、カート投入率/購入完了率なども見ると切り分けしやすい(第9回と接続)。

3-3. 実店舗の基本:客単価と回転数(+席数・稼働率)

  • 客単価:売上 ÷ 客数
  • 客数:来店人数(席数ビジネスでは「席が何回回ったか」に強く影響)
  • 回転数:1席(または1テーブル)が、一定時間で何回利用されたか
  • 稼働率:席が埋まっている割合(混雑時間帯の“取りこぼし”を可視化)

店舗の基本形(まずこれ)

売上=客数 × 客単価
客数(目安)=席数 × 回転数 × 稼働率


4. 基本指標からKGI(利益)へ:分解式で“到達方法”を作る

第8回で扱った「KGI」を、今回は利益(粗利/貢献利益)として置き、基本指標で分解します。
ここが第12回の核心です。

4-1. 共通の考え方(まずこれだけ覚える)

KGI(利益)の基本形

KGI(利益)=件数(客数/注文件数)× 1件あたり利益(粗利/貢献利益)

その「件数」をさらに分解すると、チャネルごとのレバーが見えます。

4-2. 文房具カフェ(実店舗)のKGI分解(例)

  • KGI(例):月間 粗利(または貢献利益)
  • 分解式(例)
    • 月間粗利=月間売上 × 粗利率
    • 月間売上=客数 × 客単価
    • 客数=席数 × 回転数 × 稼働率

→ 店舗で効くレバーは、ざっくり言うと
客単価/回転数/稼働率/粗利率 のどれを動かすか、になります。

4-3. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)のKGI分解(例)

  • KGI(例):キャンペーン期間の総貢献利益
  • 分解式(例)
    • 総貢献利益=注文件数 × 1注文あたり貢献利益
    • 注文件数=セッション × CVR
    • セッション(SNS由来のイメージ)=インプレッション × CTR

→ 自社ECで効くレバーは
CTR(流入)/CVR(転換)/客単価/1注文あたり貢献利益(原価・送料・手数料) です。

4-4. ユウセイ堂(モール型)のKGI分解(例)

  • KGI(例):月間 総貢献利益
  • 分解式(例)
    • 総貢献利益=注文件数 × 1注文あたり貢献利益
    • 注文件数=商品ページ閲覧数 × CVR
    • 商品ページ閲覧数=表示回数(IMP)× CTR(検索結果→商品ページ)

→ モールで効くレバーは
検索結果CTR/CVR/モール手数料・返品等を含む貢献利益 です。


5. 計算演習:粗利/貢献利益を“実際に計算”して、KGIまでつなげる(10〜15分)

以下は練習用のダミー数値です。
まずは自分で計算し、必要なら電卓 or ChatGPTで確認してください。

演習0(SNSの基本):ERとCTRを計算する(1分)

ある投稿の実績が以下だとします。

  • インプレッション:120,000
  • エンゲージメント:3,000
  • リンククリック:1,200

  1. エンゲージメント率(ER)は?
  2. CTRは?

演習1:文房具カフェ(実店舗)—「客数×客単価×粗利率」で1日粗利を計算

前提(ダミー)

  • 席数:40席
  • 営業時間:10時間
  • 平均滞在:2時間 → 回転数=10 ÷ 2=5回
  • 稼働率:75%
  • 客単価:2,200円
  • 粗利率:55%

  1. 1日の客数(目安)
  2. 1日の売上
  3. 1日の粗利
  4. 月22営業日なら、月間粗利はいくら?

演習2:文房具カフェオンラインストア(自社EC)—「1注文あたり貢献利益」と総貢献利益を計算

前提(ダミー、1注文あたり)

  • 販売価格:5,500円
  • 売上原価:2,200円
  • 送料負担:400円
  • 梱包資材:80円
  • CS等の変動費:50円
  • 決済手数料:売上の3%(=5,500×3%)

さらに、期間中の集客・転換が以下だとします。

  • セッション:30,000
  • CVR:2.2%

  1. 1注文あたり粗利
  2. 1注文あたり貢献利益
  3. 注文件数
  4. 総貢献利益
  5. CVRが2.5%に改善したら、総貢献利益はどれだけ増える?(1注文あたり貢献利益は同じとする)

演習3:ユウセイ堂(モール型)— モール手数料込みで貢献利益を計算し、CTR改善の効果を見る

前提(ダミー、1注文あたり)

  • 販売価格:3,200円
  • 売上原価:1,500円
  • モール手数料:売上の10%(=3,200×10%)
  • 梱包資材:70円
  • 出荷作業費:60円(※送料は購入者負担として0円とする)

集客・転換(ダミー)

  • 表示回数(IMP):200,000
  • CTR(検索結果→商品ページ):2.0%
  • CVR(商品ページ→購入):4.0%

  1. 1注文あたり貢献利益
  2. クリック数(商品ページ閲覧の目安)
  3. 注文件数
  4. 総貢献利益
  5. CTRが2.4%に改善した場合、総貢献利益はいくら増える?(CVRと貢献利益は同じとする)

解答例(自己採点用)

先に自分で解いてから見てください。

演習0

  1. ER=3,000 ÷ 120,000=2.5%
  2. CTR=1,200 ÷ 120,000=1.0%

演習1

  1. 客数=40席 × 5回 × 75%=150人
  2. 売上=150 × 2,200=330,000円
  3. 粗利=330,000 × 55%=181,500円
  4. 月間粗利=181,500 × 22=3,993,000円

演習2

  1. 粗利=5,500−2,200=3,300円
  2. 決済手数料=5,500×3%=165円
    貢献利益=3,300−400−80−50−165=2,605円
  3. 注文件数=30,000×2.2%=660件
  4. 総貢献利益=2,605×660=1,719,300円
  5. 注文件数(改善後)=30,000×2.5%=750件 → 増分90件
    増分利益=2,605×90=234,450円

演習3

  1. モール手数料=3,200×10%=320円
    貢献利益=3,200−1,500−320−70−60=1,250円
  2. クリック数=200,000×2.0%=4,000
  3. 注文件数=4,000×4.0%=160件
  4. 総貢献利益=1,250×160=200,000円
  5. CTR2.4%→クリック4,800→注文192件(増分32件)
    増分利益=1,250×32=40,000円

6. よくある失敗(粗利/貢献利益と基本指標でつまずくポイント)

  • 売上だけ見て判断してしまう(手数料・送料負担で利益が消える)
  • “1件あたり利益”が見えていないため、施策の効果が議論で終わる
  • SNSの指標を見ても、CTRやCVRに接続できていない(KGIにつながらない)
  • 店舗で「来店数」を追うが、回転数・稼働率・客単価のどれを動かすかが曖昧

7. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは ①〜③(担当に近いもの1つ)だけでOK。余裕があれば④⑤。

① 文房具カフェ:店舗の「粗利KGI」を分解式で作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)について、KGIを「月間粗利」に置きます。
月間粗利を「客数×客単価×粗利率」で分解し、
客数をさらに「席数×回転数×稼働率」で分解した“計算式ツリー”を作ってください。
また、どの数字を改善すると効きやすいか(優先レバー)を3つ提案してください。

② オンラインストア:1注文あたり貢献利益のテンプレを作る(自社数字に置き換え)

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)について、
「1注文あたり貢献利益」を計算するテンプレ(項目リストと計算式)を作ってください。
含めたい項目:販売価格、原価、決済手数料、送料負担、梱包資材、CSの変動費。
最後に、貢献利益を上げる代表的な改善方向を5つ挙げてください(値引き以外も含めて)。

③ ユウセイ堂:モール手数料込みで貢献利益を計算し、CTR/CVRの改善効果を試算

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)について、
「総貢献利益=IMP×CTR×CVR×貢献利益/注文」という簡易式でモデル化してください。
さらに、CTRを0.4pt、CVRを0.5pt改善した場合の効果を、
式の形で示し、どちらが優先になりやすいかも説明してください(前提は仮でOK)。

④ 3チャネル横断:KGI(利益)を共通フォーマットで見える化

文房具カフェ(店舗)/オンラインストア(自社EC)/ユウセイ堂(モール)について、
各チャネルのKGIを「月間の粗利(または総貢献利益)」に置いた場合の
最小KPIセット(5個以内)を提案してください。
KPIは「上流(SNS/露出)」「中流(CTR/CVR)」「下流(1件あたり利益)」の視点で整理してください。

⑤ 理解チェック:粗利・貢献利益・転換率のクイズ

今日のテーマ「粗利/貢献利益と基本指標(SNS・CVR・客単価/回転)」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

8. 理解チェック(3問・5分)

  1. 粗利と貢献利益の違いは何?(一言で)
  2. 自社ECで「CVRが上がったのに利益が増えない」典型原因を1つ挙げると?
  3. 店舗の売上を増やす打ち手を、客単価/回転数/稼働率の観点で1つずつ言える?

9. 今日のまとめ(3行)

  • KGI(利益)=件数×1件あたり利益。まずは粗利/貢献利益を計算できるようにする。
  • SNS(IMP/ER/CTR)、オンライン(CVR等)、店舗(客単価/回転/稼働)という基本指標を、KGIに接続する。
  • 以降の施策・実験(第11回)も、KPIだけでなく利益が増えているかで判断できるようになる。

次回予告(第13回)

次回は リピート設計(CRM) に進みます。
第12回で「1件あたり利益」と「件数の作り方」を押さえた上で、
2回目・3回目につなぐ接点(店舗/自社EC/モールそれぞれ)を設計し、
KGI(利益)を安定して積み上げる考え方を整理します。

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