コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第15回カリキュラム(ver1.0)

総まとめ:週次で回るマーケ運用(KGI→ファネル→CJM→優先順位→実験→学び)
+ 行動経済学ライトの点検表
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回の目的は「知識の追加」ではなく、第1回〜第14回を“現場で回る形”に固定することです。
「何を見る→どこで落ちた→どこを直す→何を試す→学びを残す」を週次で再現できる状態を作ります。

所要時間
30〜45分(読む20分+運用テンプレ確認10分+理解チェック5分)

※この回は「良い案を出す」より、迷わず回る手順(型)を固定する回です。

0. まず第14回(行動経済学・行動心理学ライト導入)の要点を簡単に復習(3分)

第14回では、行動科学を「暗記」ではなく、CJM/ファネルで見つけた“止まり”の原因を当てる補助レンズとして扱いました。

止まる理由は主に3分類

  1. 不安(損失回避):失敗したくない
  2. 迷い(選択・順序):判断軸がない
  3. 摩擦(手間):面倒で進まない

処方箋は主に

  • RTBの前倒し(要点・チェックリスト)
  • 情報順序(USP→要点→根拠→詳細)
  • 導線短縮(次の一手を明確に)
  • レビュー等の社会的証明(置き場所が重要)

ただし、これらを知っていても、運用が回らないと次のようになります。

  • 良い改善案が出ても、実行が続かない/属人化する
  • 数字が悪化したときに、どこから見て何を直すかが迷子になる
  • チャネル間で学びが共有されず、同じ失敗を繰り返す

そこで第15回は、ここまでの内容を “週次で回る仕組み”として完成させます。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. 週次で改善が回る「見る順番(型)」を説明できる
  2. 3チャネル(店舗/自社EC/モール)で最低限のスコアボード(見る数字)を作れる
  3. 次にやることを1〜2本の実験に落とし、学びを蓄積・横展開できる

この回のキーメッセージ

  • 運用を止めない鍵は「見る順番」の固定
  • 最初に見るのはKGI(利益)(議論の軸を揺らさない)
  • 次にファネル→CJMで「どこで何が起きたか」を特定
  • 施策は優先順位→実験で「学びが残る」形に
  • 学びは横展開して改善速度を上げる

この回の成果物(軽量版)

  • 3チャネルのスコアボード(5〜8指標)
  • 今週の詰まり段階(1つ)
  • 今週の実験(1本、Primary/Secondary/Guardrail付き)
  • 学びログ(横展開メモ付き)

2. ここまでの全体地図(第1回〜第14回)を“運用目線”で一枚にする

このシリーズでやってきたことを、運用に必要な順序で並べるとこうなります。

  1. 方向性:誰に/何を(3C・STP・ターゲット)
  2. 価値提案:何を約束し/何で信じてもらう(USP・RTB)
  3. 施策設計:4P/4Cで具体化
  4. 導線把握:AIDMA/AISASで流れを掴む
  5. 接点把握:CJMで“どこで不安・迷い・摩擦が出るか”を特定
  6. 目標と測定:KGI/KSF/KPI+ファネルで「どこが落ちているか」切り分け
  7. 意思決定:インパクト×確度×工数で優先順位
  8. 検証:実験(Primary/Secondary/Guardrail)で勝ち筋を確定
  9. 利益判断:粗利/貢献利益でKGIに接続(第12回)
  10. 積み上げ:広義CRM(再顧客化・再接触・想起)
  11. 効かせ方:行動科学ライト(不安・迷い・摩擦の点検)

第15回は、この流れを「毎週の運用」に落とします。


3. 週次で回る“標準プロセス”:見る順番を固定する(ここが最重要)

改善が続くチームは、例外なく「見る順番」が固定されています。
御社向けの推奨は、次の 6ステップです。

Step 1:KGI(利益)を見る(結論から)

  • 第12回の考え方に揃え、まずは 粗利/貢献利益で見る
  • 例:
    • 店舗:月間粗利(または日次粗利)
    • 自社EC:期間の総貢献利益
    • モール:月間総貢献利益

目的

最終的に「利益が増えているか」を最初に確認し、議論の軸を揺らさない。

Step 2:ファネルで「どこで落ちたか」を切り分ける(第9回)

  • 上流(見られていない)
  • 中流(比較・理解で止まる)
  • 下流(不安・条件・導線で止まる)

目的

「原因の当て」をつけて、打ち手を絞る。

Step 3:CJMで“接点”まで落として原因を特定(第7回)

  • その段階で、どの接点が弱いか(SNS、商品ページ上部、FAQ、予約導線、Q&A…)
  • そこで何が起きているか(不安/迷い/摩擦

目的

改善点を「どこで何を直すか」まで具体化する。

Step 4:次にやることを1〜2本に絞る(第10回)

  • インパクト×確度×工数
  • できれば「工数が小さく、差が出やすい」ものから

目的

改善を止めない。学びを早く回す。

Step 5:実験設計(第11回)

  • Primary(主指標)
  • Secondary(なぜ効いたかの手がかり)
  • Guardrail(悪化すると困る指標:返品、低評価、キャンセル等)

目的

何が効いたかを切り分け、再現可能にする。

Step 6:学びを記録し、横展開する(第13回に接続)

  • 例:モールで効いた「合致チェック」を、自社ECの誤認防止にも転用
  • 例:店舗で効いた「不安の一枚集約」を、ECの“要点サマリ”に応用

目的

同じ学びを3チャネルで使い回し、改善速度を上げる。


4. スコアボード(見る数字)を最小構成で作る:3チャネル共通フォーマット

「見る数字」が増えるほど運用は止まります。
ここでは “5〜8個”に絞る前提で、チャネル別テンプレを提示します。

4-A. 文房具カフェ(実店舗)スコアボード例

KGI(利益)

  • 日次/週次:粗利(または売上×粗利率)

上流〜中流(集客・予定化)

  • SNS:IMP / 保存・シェア / プロフィール遷移(可能なら)
  • Googleマップ:閲覧数(可能なら)

下流(来店・予約)

  • 予約完了数(または予約完了率)
  • 予約ページ到達率(導線が弱いと落ちる)

ユニット(第12回に接続)

  • 客単価
  • 回転数(目安でも可)/稼働率(混雑時間帯の取りこぼし把握)

Guardrail(満足)

  • キャンセル率(増えるなら不安・導線の問題)
  • 現場で拾える不満(定性でもOK:混雑・説明不足など)

4-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)スコアボード例

KGI(利益)

  • 期間の総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

上流(集客)

  • SNS:IMP / CTR(サイト流入)
  • セッション(訪問数)

中流〜下流(転換)

  • CVR(購入)
  • カート投入率/購入完了率(どちらか1つでも可)

ユニット(利益の核)

  • 貢献利益/注文(原価・送料負担・決済・梱包等を含む)

Guardrail

  • キャンセル率
  • 返品・交換問い合わせ(条件誤解の兆し)

4-C. ユウセイ堂(モール型)スコアボード例

KGI(利益)

  • 月間総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

上流(見つけられるか)

  • 表示回数(IMP)
  • CTR(検索結果→商品ページ)

中流〜下流(買われるか)

  • CVR
  • 注文件数

Guardrail(安心の品質)

  • 不一致返品(可能なら「不一致」理由の割合)
  • 低評価レビュー率(誤認・配送・品質の兆し)

ユニット

  • 貢献利益/注文(モール手数料・梱包・出荷等を含む)

5. 会議を回すための「3点セット」テンプレ(これさえあれば運用できる)

第15回の成果物は、実務ではこの3つに集約されます。
“資料作り”ではなく、迷わず回すための最低限です。

5-1. スコアボード(数字の一覧)

  • 3チャネル共通フォーマットで「KGI(利益)/上流・中流・下流の主要KPI/Guardrail」を並べる
  • 最初は5〜8個に絞る(増やすのは回ってから)

5-2. 実験シート(1枚)

最低限、これだけ書ければ十分です。

  • 目的(どの段階の詰まりか)
  • 仮説(If→Then)
  • 変更点(何を変えるか)
  • Primary / Secondary / Guardrail
  • 期間(いつからいつまで)
  • 結果と学び(何が言えるようになったか)

5-3. 学びログ(横展開のため)

  • うまくいったこと/いかなかったこと
  • 次に何を試すか
  • 「店舗→EC→モール」への転用アイデア

※ここが弱いと、改善は“その場限り”になりやすいです。


6. 行動経済学ライト:最後に必ず使う「5項目点検表」(第14回の実務化)

これは“深掘り”ではなく、毎週の点検に使うチェックです。
CJMで止まっている接点(予約直前、商品ページ上部、合致確認箇所など)を見ながら確認します。

  1. 不安(損失回避):失敗したくない不安を放置していないか
    • 合致/正規性/買い逃し/届く/混雑…の核心は先に出ているか
  2. 迷い(選択・順序):判断軸が先に出ているか
    • 要点サマリ/チェックリストで「見る順」が作れているか
  3. 摩擦(手間):次の一手が自然に分かるか
    • 予約・購入までの導線が短いか/迷わせないか
  4. 社会的証明:安心の根拠が“必要な場所”にあるか
    • レビュー・利用者の声・実績は、迷いが出る直前に見えるか
  5. 希少性(条件の明確化):期限や枠は“事実として”明確か
    • 根拠のない煽りになっていないか(御社の信頼と満足を守る)

 


7. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは①〜③(各チャネル1つ)で十分です。必要なら④⑤。

① 文房具カフェ:週次レビュー用「見る順番」と次の実験案を作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)について、週次で改善を回すためのテンプレを作りたいです。
前提:KGIは粗利(または売上×粗利率)。
上流/中流/下流のKPIを合計8個以内で提案し、
KGIが落ちた時に「どの順で何を見るか」を手順化してください。
最後に、行動心理ライト(不安/迷い/摩擦)点検表を使って、
今週試す実験案を1つ、Primary/Secondary/Guardrailつきで提案してください。

② オンラインストア:スコアボード+実験シートの“型”を作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)について、
KGIを「期間の総貢献利益」に置きます。
スコアボード(KGI+KPI+Guardrail)を8項目以内で提案し、
週次レビューの議事進行(15分で回る手順)を作ってください。
さらに、商品ページ上部の「要点サマリ前倒し」を実験にする場合の
実験シート(目的/仮説/変更点/Primary/Secondary/Guardrail/判定)を埋めてください。

③ ユウセイ堂:モール運用の「原因切り分け→次の一手」をテンプレ化

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)について、
KGIを「月間総貢献利益」に置きます。
表示回数→CTR→CVR→注文件数→貢献利益/注文 の流れで、
どこが悪化した時に何を疑うか(原因候補)をテンプレ化してください。
最後に、合致確認チェックリストを改善する実験案を1つ、
Primary/Secondary/Guardrailつきで提案してください。

④ 3チャネル横断:学びログのフォーマットを作る

店舗/自社EC/モールの改善を横展開するための「学びログ」フォーマットを作ってください。
項目は10個以内。
(例:背景、詰まり段階、仮説、変更点、結果、学び、次の打ち手、横展開先、注意点、担当など)

⑤ 理解チェック:総まとめクイズ

第1回〜第15回の総まとめとして、理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

8. 理解チェック(3問・5分)

  1. 週次運用で「最初に見るべきもの」は何?(ヒント:第12回の考え方)
  2. KGIが落ちた時、次に行う切り分けは何?(ヒント:第9回)
  3. 改善案を出した後、なぜ「実験(Primary/Secondary/Guardrail)」に落とす必要がある?

9. 今日のまとめ(3行)

  • 改善が続くチームは「見る順番」が固定されている:
    KGI(利益)→ファネル→CJM→優先順位→実験→学びログ
  • 3チャネルは同じ型で運用できるが、見るKPIはチャネル特性に合わせて最小化する。
  • 行動経済学ライトは“深掘り”ではなく、毎週の接点改善に使う不安/迷い/摩擦の点検表として添える。

次回以降(第16回〜):新シリーズ予告

次回からは新シリーズとして、戦略レベル/戦術レベルのモデルを1回1つずつ学びます。
第16回は SWOT分析(ver1.0) を扱い、3チャネル(店舗/自社EC/モール)での勝ち筋と言語化・打ち手の方向付けを行います。

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