コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第18回カリキュラム(ver1.0)

PEST分析:外部環境の変化を「機会/脅威」に変換し、SWOTのO/Tを強化する
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回は「最新ニュースの暗記」ではなく、外部変化を整理して“戦い方の前提”を揃える回です。
数値は不要。まずは仮説でOKです。

所要時間
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※PESTは「情報収集」ではなく、SWOTのO/Tを更新するための整理術として使います。

0. まず第17回(SWOT分析)の要点を簡単に復習(3分)

第17回では、SWOTを「棚卸し」で終わらせず、クロスSWOT(SO/ST/WO/WT)に変換して、
次の打ち手の方向を決めました。

  • S/W=内部要因(自社の強み・弱み)
  • O/T=外部要因(環境の機会・脅威)
  • 価値があるのは「外部×内部を掛け合わせた方向」

ただし、SWOTを作るときに最もブレやすいのが O/T(外部要因)です。
そこで第18回は、外部環境を体系的に整理する PEST分析で、SWOTのO/Tを強化します。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. PEST(P/E/S/T)が何を指すかを説明できる
  2. 外部変化を「機会/脅威」として整理し、SWOTのO/Tに落とし込める
  3. 御社3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、外部変化の影響が出やすいポイント(不安・条件・運用)に当たりを付けられる

この回のキーメッセージ

  • PESTの目的は「時事ネタ集」ではなく戦略の前提を揃えること
  • 各カテゴリは3つ以内に絞る(運用できる量)
  • 必ず機会/脅威に言い換え、SWOTのO/Tを更新する
  • 最後に監視KPI(早期警戒)を置く

この回の成果物(軽量)

  • PEST(各カテゴリ1〜3個)
  • 各項目の「機会/脅威」判定
  • SWOTのO/Tの更新(貼り替え)
  • 監視KPI(3〜5個)

2. PEST分析とは何か:外部環境を“同じ型”で整理する

PESTは、外部環境を次の4つに分けて整理するフレームです。

  • P:Political / Legal(政治・法規制・ルール)
    法令、ガイドライン、プラットフォーム規約、表示・広告・個人情報、取引条件の透明性など
  • E:Economic(経済)
    物価、原価・物流費、為替、可処分所得、景気、観光需要など
  • S:Social(社会・文化)
    価値観、ライフスタイル、コミュニティ(ファンダム)、体験志向、ギフト需要など
  • T:Technological(技術)
    SNSアルゴリズム、短尺動画、検索・レコメンド、決済、物流追跡、AI活用など

目的:変化を集めることではなく、
「機会(O)/脅威(T)として扱える形」に変換して、戦略の前提を揃えること。

 


3. どの順序で作るか:PEST → 機会/脅威化 → SWOTへ接続

おすすめは次の 5ステップです(軽量版)。

Step 1:分析の“範囲”を決める(最初にここを固定)

  • 期間:今後6〜12か月(現場運用に効く)
  • 対象:3チャネル(店舗/自社EC/モール)
  • 目的:SWOTのO/T精度を上げ、重点テーマ選定に使う

Step 2:PESTを各3個以内に絞る

増やすほど運用で使えません。
「影響が大きい」「起きそう」「自社に関係する」を優先します。

Step 3:それぞれを“機会/脅威”に言い換える

同じ変化でも、チャネルによって機会にも脅威にもなります。例:物流費の上昇

  • 自社EC:貢献利益を押し下げる(脅威
  • 逆に、運用品質で安心を作れれば差別化にもなる(機会

Step 4:SWOTのO/Tに貼り替える

第17回で作ったSWOTのO/Tが、PESTで更新されます(差し替え)。

Step 5:運用(第15回)へ接続する「監視項目」を置く

  • 何が起きたら見直すか(例:返品率、低評価、配送遅延、SNS流入低下、予約完了率低下)
  • どのKPIを“早期警戒”として見るか(第9回・第12回に接続)

ポイント

PESTは「起きたこと」を語るより、起きた時にどう判定し、どの数字で気づくかまでがセットです。


4. PESTでよくある失敗(ここを避けると使える)

  • 抽象度が高すぎる:「社会が変化」ではなく「何がどう変わり、何に効くか」まで言う
  • 多すぎる:各カテゴリ3つ以内(最大でも12個)に絞る
  • 単なる時事ネタ集:必ず「機会/脅威」に言い換える
  • 自社の行動に落ちない:「だから何を見る/何を整える」までセットにする

5. 御社の例:3チャネルでのPEST(仮説例)

※ここは“考え方の例”です。正確な情勢の断定ではなく、PESTの型を掴む目的で読んでください。

5-A. 文房具カフェ(実店舗)

P(政治・ルール)

  • イベント運営や告知に関わるルール・表示の明確性が求められる傾向
    脅威:説明不足だとクレーム・不満
    機会:透明性が高い運営は安心につながる

E(経済)

  • 物価・人件費の上昇で、運営コストが上がりやすい
    脅威:粗利を圧迫
    機会:体験価値で“納得”を作れれば価格調整の余地

S(社会)

  • 「モノ」だけでなく「体験」への支出が続きやすい/SNSで共有しやすい
    機会:来店理由を作りやすい(想起にも効く)

T(技術)

  • 予約・混雑情報の見える化(デジタル導線)が当たり前になりつつある
    機会:摩擦を減らして予定化を後押し
    脅威:整っていないと比較で不利

SWOT接続の例

O(体験需要・共有文化)を取りに行くには、W(予約前不安)を先に潰す、など(WO方向が明確になる)。


5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)

P(政治・ルール)

  • 表示(価格・送料・納期・返品条件など)の明確性がより重要
    脅威:条件が分かりにくいと離脱・問い合わせ増
    機会:条件が明確なストアは安心で選ばれやすい

E(経済)

  • 原価・物流費の変動が貢献利益に直結
    脅威:送料負担・決済手数料等で利益が削られる
    機会:貢献利益(第12回)を基準に設計すれば、利益を守りやすい

S(社会)

  • ファンダムは「作品理解・作品愛が感じられる」公式の発信を重視
    機会:御社の企画背景・デザイン意図の強みが効きやすい

T(技術)

  • SNSのフォーマット(短尺など)や検索行動が変化しやすい
    脅威:流入源の変化でセッションが上下
    機会:SNS→要点サマリ→購入の導線を整えると安定

SWOT接続の例

T(流入変動・条件複雑)に対して、S(正規性・作品理解の表現)を「上部で短く」出す(ST)など。


5-C. ユウセイ堂(モール型)

P(政治・ルール)

  • モール側の規約・表示ルール・レビュー運用などの影響を受けやすい
    脅威:ルール変更で露出や表現が変わる
    機会:ルール順守と説明品質が信頼につながる

E(経済)

  • 比較・価格圧力が強い中で、手数料・出荷コストが利益に効く
    脅威:値下げで貢献利益が消える
    機会:値下げ以外(合致確認・届く安心)で差別化すると守りやすい

S(社会)

  • 「早く確実に買いたい」需要は強い/失敗したくない心理が出やすい
    機会:合致不安を短時間で潰せると選ばれやすい

T(技術)

  • 検索・レコメンドの変化により、CTR・CVRが影響を受ける
    脅威:露出・クリックが落ちる
    機会:タイトル・画像・冒頭チェックリストでCTR/CVRを支えられる

SWOT接続の例

T(比較圧力)に対し、S(運用品質)を“届く安心”として可視化(ST)など。


6. ミニ演習(5分):PEST → 機会/脅威 → 次に見る指標 を1本だけ作る

次のどれか1チャネルを選び、各カテゴリ1つずつ(合計4つ)だけ書いてみてください。

  • 文房具カフェ(店舗)
  • 自社EC
  • ユウセイ堂(モール)

書き方(テンプレ)

ミニ演習テンプレ

P:____(→機会/脅威:__)
E:____(→機会/脅威:__)
S:____(→機会/脅威:__)
T:____(→機会/脅威:__)

最後に:
この変化を早期に察知するKPI(1つ):____

例:モール T「検索仕様の変化」→脅威 → 監視KPI:検索結果CTR


7. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:①〜③は“各チャネル1本”で必要十分です。④⑤は横断整理と理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):PEST→機会/脅威→監視KPIを作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)のターゲットは、表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性です。
今後6〜12か月を対象に、PESTを各2つずつ提案し、
それぞれを「機会」か「脅威」に分類してください。
最後に、脅威を早期に検知するための監視KPIを3つ(予約完了率など)提案してください。

② 自社EC:PESTを“条件不安/正規性不安/流入変動”に接続する

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)のターゲットは
「買い逃したくない」「正規ルートで安心して買いたい」+作品理解・作品愛(デザイン)重視です。
今後6〜12か月のPESTを各2つずつ出し、
各項目が「条件不安」「正規性不安」「流入変動」「利益(貢献利益)」のどれに効くかをタグ付けしてください。
最後に、SWOTのO/Tにどう反映するか(書き換え例)も示してください。

③ ユウセイ堂(モール):PEST→“合致不安/届く不安/比較圧力”への影響を整理

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)のターゲットは
「検索・比較して早く確実に買いたい」+「合致しているか」「期待通り届くか」の不安なく満足して買いたい、です。
今後6〜12か月のPESTを各2つずつ挙げ、
各項目がCTR/CVR/返品(不一致)/低評価レビュー率/貢献利益のどれに影響しやすいかを整理してください。
最後に、最重要の脅威を1つ選び、対策の方向性(ST/WT)も提案してください。

④ 3チャネル横断:PESTから“共通の重点テーマ”を1つ作る

店舗(文房具カフェ)/自社EC(文房具カフェオンラインストア)/モール(ユウセイ堂)のPESTを前提に、
3チャネル共通で取り組むべき重点テーマを1つ提案してください。
(例:安心の標準化、条件の明確化、情報設計のテンプレ化 など)
そのテーマがKGI(粗利/貢献利益)にどうつながるかも一言で説明してください。

⑤ 理解チェック:PESTクイズ

今日のテーマ「PEST分析」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

8. 理解チェック(3問・5分)

  1. PESTの4要素をそれぞれ一言で説明すると?
  2. PESTの項目を「機会/脅威」に変換するのはなぜ?(SWOTとの接続を意識して)
  3. 監視KPI(早期警戒指標)を置くメリットを1つ挙げると?

9. 今日のまとめ(3行)

  • PESTは外部環境を P/E/S/T で整理し、SWOTのO/Tを強化するためのモデル。
  • 各カテゴリは増やしすぎず(各3個以内)、必ず 機会/脅威に言い換え、SWOTへ貼り替える。
  • 最後に「監視KPI」を置くことで、外部変化を週次運用(第15回の型)に接続できる。

次回予告(第19回)

次回は 5フォース分析(ver1.0) を扱います。
PESTが「広い外部環境」だとすると、5フォースは「競争構造(なぜ価格比較が強いのか等)」を分解するモデルです。
SWOTのT(脅威)の精度をさらに上げます。

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