コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第22回カリキュラム(ver1.0)

ビジネスモデルキャンバス(BMC):価値・顧客・収益・コスト・活動を「1枚」で統合し、3チャネルの整合性と伸ばし方を見える化する
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

 

 

 

この回は「BMCを埋めること」が目的ではありません。
VRIOで見えた投資すべき強みを、BMC上で(価値→収益)(活動→コスト)に接続し、
3チャネルの役割分担・収益構造・運用のボトルネックを同じ言葉で説明できる状態を作ります。
数値は不要、まずは仮説でOKです。

所要時間
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※成果物は重くしません。“1枚”+重点テーマ1つまでで十分です。

0. まず第21回(VRIO分析)の要点を簡単に復習(3分)

第21回では、強み(資産・能力)を V/R/I/O で評価し、
投資/標準化/撤退(外注) の判断に落としました。

  • V:顧客価値・機会獲得・脅威対応に効くか
  • R:当たり前ではないか(希少性)
  • I:真似されにくいか(模倣困難性)
  • O:組織として再現できるか(仕組み・運用)

ただしVRIOだけだと、現場では次が残ります。

  • その強みはどの顧客に、どんな価値として届き、どう収益になるのか
  • 強みを発揮するために、どの活動が必要で、どこにコストが出るのか
  • 3チャネルで、同じことをやるべきか/分担すべきか

そこで第22回は、価値・顧客・収益・活動・コストを統合する BMC(ビジネスモデルキャンバス) を扱います。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. BMCの9ブロックを説明できる
  2. 御社3チャネル(店舗/自社EC/モール)で、BMCを“仮で1枚”作れる
  3. BMCから重点テーマ(整合性の弱点/伸ばす方向)を1つ決められる

この回のキーメッセージ

  • BMCは「資料」ではなく、合意形成の共通言語
  • 右側(顧客・価値・収益)と左側(活動・資源・コスト)が噛み合っているかを見る
  • 強み(VRIO)はBMCのKey Resources / Key Activitiesに落ちる

この回の成果物(軽量)

  • チャネル別BMC(9ブロック、各1〜3行)
  • 整合性チェック結果(ズレ3つ)
  • 重点テーマ1つ(今期の方向)
  • 運用接続:KGI(粗利/貢献利益)/ファネル段階/実験テーマ(1本)

2. ビジネスモデルキャンバス(BMC)とは何か:9ブロックで「儲けの仕組み」を1枚にする

BMCは、ビジネスの仕組みを9つの要素で可視化し、
「何が価値で、誰に届け、どう収益化し、そのために何が必要で、コストはどこに出るか」を同時に見るためのフレームです。

BMCの価値は、“整合性の弱点”が見つかることです。
例:「価値は良いのに、届け方(Channels)が弱い」「収益は狙うが、コスト(Cost)が見えていない」など。

2-1. 9ブロック(用語)

領域 ブロック 一言 御社での例(イメージ)
右側(市場側) Customer Segments 誰に 店舗:休日の特別体験を求める20代女性 など
  Value Propositions 何を約束するか 自社EC:作品理解・作品愛×正規の安心 など
  Channels どう届けるか SNS→商品ページ/Googleマップ→予約 など
  Customer Relationships 関係の作り方 広義CRM:想起・再接触・再顧客化 など
  Revenue Streams どう儲かるか 店舗:客単価×客数、EC:貢献利益/注文×注文件数 など
左側(社内側) Key Resources 資産・強みの源泉 VRIOの投資対象(テンプレ、運用品質、企画資産など)
  Key Activities 中核活動 合致確認情報の整備、検品・梱包、体験運用 など
  Key Partners 外部協力 製造・物流・IP・プラットフォーム・決済 など
下段(経済性) Cost Structure 主なコスト 人件費、物流、手数料、返品、CS、混雑ロス など

 

(Amazonの例)

 

2-2. 第12回(粗利/貢献利益)との接続(ここが実務で効く)

  • Revenue Streamsは「売上」ではなく、可能なら粗利/貢献利益で語る(第12回)
  • Cost Structureは、固定費だけでなく変動費(送料負担・手数料・返品・CS)も含める


3. どの順序で作るか:右(市場)→左(内側)→整合性チェック

おすすめは次の 7ステップです(軽量版)。

Step 1:対象(チャネル)を固定する

  • 店舗/自社EC/モールは別のBMCとして作る(混ぜない)

Step 2:右側(顧客→価値→届け方→関係→収益)から埋める

  • Customer Segments:誰の、どんな状況か
  • Value Propositions:何が嬉しく、何が安心か(USP/RTBがここに入る)
  • Channels:どこで知り、どこで比較し、どこで買う/予約するか
  • Customer Relationships:想起・再接触・再購入の設計(第13回)
  • Revenue Streams:粗利/貢献利益で見た時、どこで利益が残るか

Step 3:左側(資源→活動→パートナー)を埋める

  • Key Resources:VRIOで「投資」判定の資産がここに来る
  • Key Activities:バリューチェーンの「価値の核」工程がここに来る
  • Key Partners:供給(製造・物流・IP)やプラットフォーム(モール等)を明示する

Step 4:Cost Structureを“粗く”置く

ここで厳密に見積もる必要はありません。「利益が削られやすい工程」が見えることが重要です。

Step 5:整合性チェック(ズレを3つ探す)

  • 価値(VP)が、チャネル(Channels)でちゃんと届く設計になっているか
  • 不安(損失回避)が出る箇所に、RTB(根拠)が置かれているか(第14回)
  • 収益(Revenue)を狙うのに必要な活動(Activities)が足りているか
  • コスト(Cost)を増やす活動が、価値に見合っているか(やりすぎていないか)

Step 6:重点テーマを1つに絞る

  • 例:情報設計テンプレの標準化/検品・梱包品質の組織化/予約前不安の一枚化 など

Step 7:第15回の運用へ接続する

  • KGI(粗利/貢献利益)→ファネル→CJM→優先順位→実験→学びログ
  • 重点テーマは、実験(Primary/Secondary/Guardrail)に落として回す

4. 典型パターン:BMCで見つかる“ズレ”はだいたい3種類

パターンA:価値は良いのに、届け方(Channels)が弱い

  • 症状:VPは刺さるはずだが、流入が弱い/比較で伝わらない
  • 処方箋:PESO/RACE(戦術モデル)で役割分担、要点サマリ・導線短縮

パターンB:収益は狙うが、活動(Key Activities)と組織(O)が足りない

  • 症状:やりたいことはあるが、運用が続かない/属人化する
  • 処方箋:テンプレ化、更新ルール、チェック体制、KPI接続(第15回)

パターンC:コスト(Cost)が見えておらず、貢献利益が残らない

  • 症状:売上はあるが、送料・手数料・返品・CSで削られる
  • 処方箋:第12回の貢献利益で設計、返品・誤認防止、Guardrailの設定

5. 御社の例:3チャネル別BMC(仮説例)

ここは理解のための仮説です。実務では「各ブロック1〜3行」で十分です。

5-A. 文房具カフェ(実店舗)BMC(仮説)

  • Customer Segments:表参道/原宿で休日に“ちょっとおしゃれで特別”を求める20代女性
  • Value Propositions:文房具体験×空間×企画で、休日の特別感を短時間で得られる
  • Channels:Instagram/Googleマップ/公式サイト(予約・料金案内)
  • Customer Relationships:企画更新で想起→再来店、来店後の共有導線(写真・次回予告)
  • Revenue Streams:客数×客単価×粗利率(回転・稼働がレバー)
  • Key Resources:空間・企画力・現場オペ・体験導線(VRIO投資対象の候補)
  • Key Activities:企画設計、予約前案内、混雑運用、体験提供、次回導線
  • Key Partners:近隣導線(周辺施設連携があれば)、決済/予約システム等
  • Cost Structure:人件費・家賃・原材料、混雑による機会損失(稼働/回転の毀損)

ズレの当たり:VPは強いが、予約前不安(混雑/料金/所要時間)で止まる → Channels/Relationshipの設計が課題になりやすい


5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC)BMC(仮説)

  • Customer Segments:買い逃し回避/正規の安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視層
  • Value Propositions:公式の安心+企画背景が伝わるデザインで“納得して買える”
  • Channels:SNS→商品ページ、Owned(特集・告知)、購入後メール/同梱
  • Customer Relationships:発売前想起(連載/予告)→通知、購入後満足→レビュー/共有
  • Revenue Streams:注文件数×貢献利益/注文(第12回)
  • Key Resources:正規性の根拠、企画背景コンテンツ資産、情報設計テンプレ(VRIO投資対象)
  • Key Activities:企画/開発、要点サマリ作成、商品ページ運用、出荷品質、CS
  • Key Partners:製造・物流・決済・IP(供給者要因)
  • Cost Structure:原価、送料負担、決済手数料、梱包、CS、キャンセル/返品

ズレの当たり:VP(安心・納得)を言うほど、条件が複雑だと離脱 → “要点サマリ前倒し”が右側(VP/Channels)と左側(Activities/O)を繋ぐ


5-C. ユウセイ堂(モール型)BMC(仮説)

  • Customer Segments:検索・比較して早く確実に買いたい/合致不安・届く不安を避けたい層
  • Value Propositions:合致確認が速く、期待通りに届く“安心な買い物”
  • Channels:モール検索→商品ページ→購入(モール内接点が中心)
  • Customer Relationships:お気に入り/フォロー、レビュー蓄積で社会的証明、再購入導線
  • Revenue Streams:注文件数×貢献利益/注文(モール手数料・出荷費含む)
  • Key Resources:合致確認テンプレ、誤認防止ルール、検品・梱包運用品質(VRIO投資対象の候補)
  • Key Activities:商品同定情報整備、タイトル/画像/冒頭要点、検品・梱包、CS、レビュー対応
  • Key Partners:モール(プラットフォーム)、配送、仕入先
  • Cost Structure:モール手数料、出荷作業、梱包資材、CS、誤認返品・低評価の機会損失

ズレの当たり:競争構造が厳しい中、値下げは利益を削る → “合致確認+届く安心”をKey Activitiesとして標準化し、VPで比較軸をずらす


6. ミニ演習(5分):担当チャネルのBMCを“1枚”で作り、ズレを3つ見つける

担当チャネルを1つ選び、各ブロックを1〜2行で埋めてください(完璧不要)。

ミニ演習(記入用テンプレ)

【担当チャネル】____(店舗/自社EC/モール)

Customer Segments(誰に):
Value Propositions(何を約束):
Channels(どう届ける):
Customer Relationships(関係の作り方):
Revenue Streams(どう儲かる:粗利/貢献利益目線):

Key Resources(資産・強み):
Key Activities(中核活動):
Key Partners(外部協力):
Cost Structure(主なコスト・利益が削られる点):

整合性チェック(ズレを3つ):
1) ____
2) ____
3) ____

重点テーマ(今期1つ):
____(理由:____)

運用接続(第15回の型へ):
- KGI:____(粗利/貢献利益)
- 該当ファネル段階:上流/中流/下流(どれ?)
- 実験テーマ(If→Then):____
- Primary / Secondary / Guardrail:____ / ____ / ____

コツ:ズレは「右側(価値・顧客)と左側(活動・資源)」の間に出ます。
特に “価値を言うほど、運用が追いついていない” ときに、BMCは効きます。


7. よくある失敗(BMCを“使える形”にするための注意点)

  • 3チャネルを1枚に混ぜる → まずはチャネル別。横断は“比較”でやる
  • 文章が長すぎる → 各ブロック1〜3行に削る(合意形成のため)
  • Costを軽視する → EC/モールは変動費・返品・CSが利益を削る(第12回)
  • Key Activitiesが抽象的 → 「合致情報整備」「要点サマリ」「検品・梱包」など行動粒度にする(第20回)
  • 作って終わる → 重点テーマを1つに絞り、実験に落として運用へ(第15回)

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:①〜③は担当チャネルのものを1つで十分です。④は横断整理、⑤は理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):BMCを作り、体験×運用の整合性を点検する

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)のターゲットは、表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性です。
この前提でBMC(9ブロック)を各1〜3行で作ってください。
次に、整合性の弱点(ズレ)を3つ指摘し、
今週の重点テーマを1つに絞ってください。
最後に、そのテーマを第15回の運用(KGI→ファネル→CJM→実験)に接続し、
実験案(Primary/Secondary/Guardrail)まで提案してください。

② 自社EC:BMCを「貢献利益」と「買い逃し不安」に接続して作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)のターゲットは
買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視です。
BMC(9ブロック)を作り、Revenue Streamsは「注文件数×貢献利益/注文」で書いてください。
次に、Cost Structureで利益を削りやすい要因を5つ挙げ、
それを抑えるためにKey Activitiesをどう変えるべきか提案してください。

③ ユウセイ堂(モール):BMCから「値下げ以外の差別化」を言語化する

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)のターゲットは
検索・比較して早く確実に買いたい+合致不安・届く不安なく満足して買いたい、です。
BMC(9ブロック)を作り、
Value Propositionsを「合致確認」と「届く安心」で2本立てにしてください。
次に、競争が厳しい中で利益を守るために、
Key ActivitiesとGuardrail(不一致返品率・低評価率など)をセットで3つ提案してください。

④ 3チャネル横断:BMCを並べて役割分担と共通投資テーマを決める

店舗(文房具カフェ)/自社EC(文房具カフェオンラインストア)/モール(ユウセイ堂)のBMCを前提に、
3チャネルの役割分担(各1文)を作ってください。
さらに、3チャネル共通で投資すべきKey Resource(例:安心の標準テンプレ等)を1つ提案し、
それがKGI(粗利/貢献利益)にどう効くかも一言で説明してください。

⑤ 理解チェック:BMCクイズ

今日のテーマ「ビジネスモデルキャンバス(BMC)」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. BMCの9ブロックを列挙できる?(右側5つ/左側3つ/下段1つの意識で)
  2. 「Value Propositionsは強いのに売れない」とき、BMC上で最初に疑うべきブロックはどれ?(理由も)
  3. BMCで見えた重点テーマを、週次運用(第15回の型)に接続するには次に何をする?(KGI・ファネル・実験の観点で)

10. 今日のまとめ(3行)

  • BMCは、価値・顧客・収益・活動・コストを9ブロックで1枚に統合し、「儲けの仕組み」の整合性を見るモデル。
  • 作る順序は 右(顧客/価値)→左(資源/活動)→コスト。ズレを3つ見つけ、重点テーマを1つに絞る。
  • 重点テーマは、KGI(粗利/貢献利益)→ファネル→CJM→実験へ落として週次で回す。

次回予告(第23回)

次回は アンゾフの成長マトリクス(ver1.0) を扱います。
BMCで整理した現状のビジネスモデルを前提に、浸透/開発/開拓/多角化のどこを狙うべきかを整理し、
3チャネルの成長の打ち手(どこに新しさを入れるか)を決めます。

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