コース内容
Marketing Basic Lecture
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東光ブロズのマーケティングベーシックレクチャー

第26回カリキュラム(ver1.0)

RACE:Reach / Act / Convert / Engage を「段階×KPI」で運用できる形にし、PESOで決めた媒体の役割分担を“週次スコアボード”に変換する
(文房具カフェ/文房具カフェオンラインストア/ユウセイ堂)

この回は「RACEを暗記する」ではなく、各チャネルの導線を4段階に分け
どの段階が落ちているかを数字で切り分けて、次の実験(第11回)に落とす回です。
第25回(PESO)で決めた「媒体の役割」を、RACEで段階×指標に変換すると、週次運用(第15回)が一気に回りやすくなります。

所要時間
30〜45分(読む20分+ミニ演習5分+ChatGPTで整理10分)

※成果物は重くしません。各チャネルで「RACEスコアボード(5〜8指標)」と「実験1本」が作れればOKです。

0. まず第25回(PESO)の要点を簡単に復習(3分)

第25回では、媒体を「全部やる」ではなく役割分担として整理しました。
特に重要なのは次の2点でした。

  • Shared/Earnedで想起・信頼を作り、Ownedで不安/迷い/摩擦(第14回)を潰して件数に繋げる
  • Paidは増幅装置。受け皿(Owned)が弱いと費用対効果が崩れる

ただしPESOだけだと、現場で次が起きがちです。

  • 媒体の役割は決めたが、どの段階(上流/中流/下流)が弱いかの切り分けが曖昧
  • 指標が散り、週次で「何を見る→何を直す」が固定されない

そこで第26回は、導線をRACE(4段階)に分け、PESOを運用KPIに落とします。

1. 今日のゴール(この回でできるようになること)

  1. RACE(R/A/C/E)の意味と使いどころを説明できる
  2. 3チャネルで段階×KPIを5〜8個に絞ってスコアボード化できる
  3. 弱い段階を1つ決め、実験(Primary/Secondary/Guardrail)に落とせる

この回のキーメッセージ

  • RACEは「導線」を週次で切り分けるための道具
  • Act(比較・理解)が弱いと、Reachを増やしても利益が残らない
  • EngageはCRM(第13回)に直結。件数の安定化に効く

この回の成果物(軽量)

  • RACEスコアボード(各チャネル5〜8指標)
  • 弱い段階(1つ)と原因仮説
  • 実験案(1本)

2. RACEとは何か:導線を4段階に分けて「どこで落ちたか」を切り分ける

RACEは、顧客行動を次の4段階で整理し、各段階のKPIで運用するフレームです。
第9回(ファネル)を、より運用しやすい「4箱」にまとめるイメージで使えます。

段階 目的(何が起きればOK?) 代表KPI(例) 弱い時の当たり
R:Reach 見つけられる/届く IMP、リーチ、検索表示、流入(セッション) 露出不足・入口が弱い
A:Act 興味を持ち、比較・理解が進む(次へ進む) CTR、詳細到達、要点閲覧率、カート投入/予約ページ到達 不安・迷い・情報設計の弱さ
C:Convert 購入/予約が完了する CVR、購入完了率、予約完了率、注文件数 条件・導線・摩擦(手間)
E:Engage 満足が残り、再接触・再購入/再来店につながる リピート率、再訪、レビュー率、保存/シェア、フォロー CRM弱い・想起が弱い

2-1. PESOとの接続(ここが第26回の肝)

  • Reach:Paid / Shared / Earned が効きやすい(量を作る)
  • Act〜Convert:Owned が主戦場(要点・RTB・導線)+ Earned(レビュー)
  • Engage:Shared(想起)+ Owned(購入後/来店後導線)で回る(第13回CRM接続)

※結論:RACEで「どこが弱いか」を特定し、PESOで「どの媒体が直す役か」を決めると、施策が散りにくくなります。

 

 

 


3. どの順序で作るか:RACEスコアボード → 弱い段階 → 実験

おすすめは次の 7ステップです(軽量版)。

Step 1:KGI(利益)を固定(第12回)

  • 利益の形(粗利/貢献利益)で見ると、Reachを増やすべきか、Act/Convertを直すべきかが判断しやすい

Step 2:RACEの各段階に「1〜2指標」ずつ置く(合計5〜8)

  • 増やしすぎない(見る数字が増えるほど運用が止まる)
  • 各段階の指標は「次の段階へ進ませる」性格のものを選ぶ

Step 3:落ちている段階を1つ決める(第9回と同じ思想)

  • Reachが弱いのか、Actが弱いのか、Convertが弱いのか、Engageが弱いのか
  • 最初は仮説でOK(週次で精度が上がる)

Step 4:CJMで「接点」と「不安/迷い/摩擦」を当てる(第7回・第14回)

  • Actが弱い → 要点の位置、レビューの位置、合致チェックの構造 など
  • Convertが弱い → 条件の明確さ、手順の短さ、フォームの摩擦 など

Step 5:PESOで「誰が直すか(媒体の役割)」を決める

  • 同じ課題でも、直す場所が違うと効かない(例:SNSで条件説明しても購入直前では読まれない)
  • 基本は「不安を潰すのはOwned」「想起はShared」「信頼補強はEarned」

Step 6:実験に落とす(第11回)

  • Primary:その段階の最終成果(例:CVR/予約完了率)
  • Secondary:なぜ効いたか(例:要点閲覧率→カート投入率)
  • Guardrail:事故防止(例:不一致返品率、低評価率、キャンセル率)

Step 7:学びログに「段階」と「転用先」を書く(第15回)

  • 例:モールのAct改善(合致チェック)→自社ECの誤認防止テンプレに転用

4. 典型パターン:RACEで見える「詰まり方」

パターンA:Reachはあるのに、Actが弱い(流入はあるが進まない)

  • 症状:セッション/クリックは増えたが、詳細理解・カート/予約到達が弱い
  • 当たり:要点が上にない/RTBが遅い/比較軸がない(第14回:迷い・不安)
  • 処方:Ownedの「要点→根拠→詳細」を標準化+レビューの配置最適化

パターンB:Actはあるのに、Convertが弱い(最後で止まる)

  • 症状:カート/予約ページまで行くが、完了しない
  • 当たり:条件の誤解・総額不明・フォーム摩擦(第14回:摩擦)
  • 処方:手順短縮/条件の明確化/不安の核心を先に出す(要点の前倒し)

パターンC:Convertは取れるが、Engageが弱い(単発で終わる)

  • 症状:新規で波が大きい、リピートが積み上がらない
  • 当たり:購入後/来店後の導線が弱い、語れる材料がない(第13回:想起)
  • 処方:購入後体験・レビュー依頼・次回予告のProcess化(第24回 7P接続)

5. 御社の例:3チャネルのRACEスコアボード(仮説)

ここは理解用の仮説例です。実務では「各段階1〜2指標」に絞って、合計5〜8指標にします。

5-A. 文房具カフェ(実店舗):RACE(店舗版)

  • Reach:SNS IMP/Googleマップ閲覧数
  • Act:プロフィール遷移(または公式サイト流入)/「料金・所要時間」ページ到達率
  • Convert:予約完了数(または予約完了率)/予約ページ到達率
  • Engage:来店後投稿数(または保存・シェア)/再来店(次回予約)
  • Guardrail:キャンセル率/混雑・料金系の問い合わせ増

よくある詰まり:Act→Convert(予定化→予約)=不安(混雑/料金/所要時間)と摩擦(導線)が主因になりやすい


5-B. 文房具カフェオンラインストア(自社EC):RACE

  • Reach:SNS CTR(流入)/セッション
  • Act:要点サマリ閲覧率(締切/発送/正規/注意)/カート投入率
  • Convert:CVR(購入)/購入完了率
  • Engage:再訪率/レビュー率(またはメルマガ登録・通知登録)
  • Guardrail:キャンセル率/条件誤解系の問い合わせ・返品
  • KGI接続:総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

よくある詰まり:Act(理解・不安解消)が弱いと、Reachを増やしてもCVRが伸びず、利益が残りにくい


5-C. ユウセイ堂(モール型):RACE(モール版)

  • Reach:検索表示回数(IMP)
  • Act:検索結果CTR(→商品ページ)/仕様・対応条件セクション閲覧(またはQ&A閲覧)
  • Convert:CVR(商品ページ→購入)/注文件数
  • Engage:レビュー率/お気に入り・フォロー(再接触の土台)
  • Guardrail:不一致返品率/低評価レビュー率
  • KGI接続:総貢献利益(注文件数×貢献利益/注文)

よくある詰まり:Act→Convert(合致確認→購入)=損失回避(買い間違い不安)を短時間で潰せるかが勝負


6. ミニ演習(5分):担当チャネルのRACEを「5〜8指標」に絞って書く

ミニ演習(記入用テンプレ)

【担当チャネル】____(店舗/自社EC/モール)
【KGI(利益)】粗利/総貢献利益:____

RACEスコアボード(合計5〜8指標)
- Reach(1〜2):____
- Act(1〜2):____
- Convert(1〜2):____
- Engage(1〜2):____
- Guardrail(1〜2):____

【今週の弱い段階】Reach / Act / Convert / Engage:____
【原因仮説(不安/迷い/摩擦のどれ?)】____

実験(If→Then)
もし____(変更点)をすると、____(Primary)が改善し、____(KGI)に効くはず。

指標
- Primary:____
- Secondary:____
- Guardrail:____

コツ:Actは「中間指標」になりやすいですが、ここが弱いとConvertが伸びません。
“要点を見る→次へ進む”を測れるAct指標を1つ入れると、改善が速くなります。


7. よくある失敗(RACEを“回る運用”にするための注意点)

  • 指標が多すぎる → 各段階1〜2、合計5〜8に絞る
  • Actが曖昧 → 「次へ進ませる行動」をActに置く(要点閲覧、予約ページ到達、仕様閲覧など)
  • Engageを放置 → 単発の波が大きくなり、利益が安定しない(第13回CRMへ接続)
  • 段階を跨いで一度に変えすぎる → 何が効いたか分からなくなる(第11回:仮説1本)
  • Guardrailがない → CVRは上がったが返品・低評価が増える事故が起きる

8. ChatGPTへの質問例(この回は合計5つ)

使い方:まずは①〜③(担当チャネル1つ)で十分です。④は横断整理、⑤は理解チェックです。

① 文房具カフェ(実店舗):RACEスコアボードを8指標以内で作り、Act→Convert改善の実験案を出す

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェ(実店舗)のターゲットは、表参道/原宿エリアで休日に「ちょっとおしゃれで特別な体験をしたい」20代女性です。
店舗版RACE(Reach/Act/Convert/Engage)を、合計8指標以内でスコアボード化してください。
次に「Act→Convert(予定化→予約)」が弱い前提で、原因を不安/迷い/摩擦に分けて仮説化し、
今週試す実験案を1つ、Primary/Secondary/Guardrailつきで提案してください。

② 自社EC:RACEで“要点サマリ前倒し”をAct指標まで含めて設計し、A/B案を作る

あなたは社内マーケ講師です。
文房具カフェオンラインストア(自社EC)のターゲットは
買い逃し回避/正規ルートの安心+作品理解・作品愛(デザイン)重視です。
RACEを合計8指標以内で設計し、特にAct(要点閲覧→カート)を明確にしてください。
次に「要点サマリ(締切/発送/正規/注意)を商品ページ上部に前倒しする」実験を設計し、
Primary/Secondary/Guardrailと、コピー案を3つ提案してください。

③ ユウセイ堂(モール):RACEでAct(合致確認)を定義し、SKU準実験の設計に落とす

あなたは社内マーケ講師です。
ユウセイ堂(モール型)のターゲットは
検索・比較して早く確実に買いたい+合致不安・届く不安なく満足して買いたい、です。
モール版RACEを合計8指標以内で設計し、Actを「合致確認が進んだ状態」として定義してください。
次に「合致確認チェックリストを冒頭に置く」改善をSKU準実験として設計し、
Primary/Secondary/Guardrail(不一致返品・低評価を含む)を提案してください。

④ 3チャネル横断:RACEを共通フォーマットに揃え、週次で見る順番(15分)を作る

店舗(文房具カフェ)/自社EC(文房具カフェオンラインストア)/モール(ユウセイ堂)について、
RACEを共通フォーマット(合計8指標以内)で提案してください。
その後、週次レビューを15分で回す「見る順番(KGI→RACE→CJM→実験)」の議事進行を作ってください。

⑤ 理解チェック:RACEクイズ

今日のテーマ「RACE」について理解チェック問題を5問作ってください。
形式:○×2問、選択式2問、短答1問。解答と解説付き。
例は、文房具カフェ/オンラインストア/ユウセイ堂から必ず入れてください。

9. 理解チェック(3問・5分)

  1. RACEの4段階(Reach / Act / Convert / Engage)を、それぞれ「何が起きれば成功か」で言える?
  2. Reachを増やしても利益が増えない典型はどれ?(Actが弱い/Convertが弱い など、1つ挙げる)
  3. Engageを追う理由は何?(第13回CRMと、第12回の利益式に接続して一言で)

10. 今日のまとめ(3行)

  • RACEは導線を4段階に分け、どこで落ちているかを週次で切り分ける運用フレーム。
  • PESOで決めた媒体の役割を、RACEで段階×KPIに変換すると、施策が散らずに回りやすい。
  • 弱い段階を1つに絞り、Primary/Secondary/Guardrailで実験に落として学びを残す。

次回予告(第27回)

次回は サービスブループリント(ver1.0) を扱います。
店舗体験(文房具カフェ)を中心に、フロント(お客様が見る体験)とバック(裏側の運用)を分解し、
7P(People/Process/Evidence)とRACE(段階×指標)を“オペレーションまで”繋げて改善できる形にします。

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